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【報告】あなたの団体がきっと変わる。新しい仲間を巻き込み活動に必要な担い手を育てるコツ

開催日時:2017年5月20日(土)午後1時半~4時半開催
参加者:20名
講師:NPO法人 CRファクトリー 代表理事 呉 哲煥(ご てつあき)さん
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29年度第1回目のセミナーは、組織運営がテーマです。
「あなたの団体が変わる。新しい仲間を巻き込み活動に必要な担い手を育てるコツ」と題し、NPO法人CRファクトリー代表理事の呉 哲煥さんを講師に迎えました。
多くのNPO・市民活動・サークルで、必ずと言ってよいほどあげられる課題の1つに「人をうまく巻き込めない」という問題があります。人をうまく巻きこめないと、活動が盛り上がらず、担い手がどんどん減っていってしまいます。
なぜ人をうまく巻きこめないのでしょう?
それは組織で活動する人に『温度差』があるからです。
非営利組織は基本的にボランタリーな集団であるため、
①人によって優先順位がバラバラで(本業(学業・仕事)や家庭などに左右される)
②人の流動性も高く(関心が無くなったり嫌になったらすぐに辞められる)
③強制力が働かず命令では動かない(給与・金銭的報酬でつながっていない)
ために、個々の活動に対するモチベーションやコミットメントに「温度差」ができます。それは、どの非営利組織でも共通する悩みです。
そのことを前提に、よりイキイキと継続的に活動できる組織をマネジメントする必要があります。


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人と組織のマネジメントで重要なのは、目に見えやすい「結果」や「行動」に捉われるよりも、それを創出する基盤となる「動機づけ要因」や「関係性」にどれだけアプローチできるかにあります。
人をモチベートし成果を上げてもらうためには、その人の「動機付け要因」すなわち、
①なぜこの団体に関わっているのか
②活動で何を得たいのか
③何に喜びや充実を感じているのか

などについて把握し、その動機を満足させられるような配属・経験デザイン・機会提供などの「報酬」を払うことが大切です。
報酬は、「成長・スキルアップ」や「仲間・繋がり・コミュニティ」「承認・受容」「貢献感」「動機付け」など様々です。スタッフの動機を把握し、それに応えるような報酬を支払うことが、人と組織のマネジメントでは重要です。
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【人を上手に巻き込むためのフロー】は、
①勉強会・イベント・飲み会などを開催し団体に【興味】を持ってもらう
  ↓
②マメなコミュニケーションやちょっとしたレジャーに参加してもらい、「ここは居心地がいいなぁ」「また参加したいなぁ」と団体に【愛着】を持ってもらえるような関係性を構築する
  ↓
③団体に参加して自らが担い手【主体】として育っていく
というような巻き込みを設計します。
スタッフのモチベーションを向上させるためには、上位の目的(=経営者と同じ目線)を共有することで当事者意識を持ってもらい、ニーズに沿った「報酬」を支払う、すなわち、団体に参加することのメリット(自身の興味・関心・要求)が満たされるようにアプローチすることで、スタッフ自らが団体の主体(=担い手)に育っていくように「動機づけ」に働きかけます。それが、上手に人を巻き込み・定着してもらい・循環させていくためのコツです。
そのためには、イベントや企画の当日お手伝いという下流のプロセスからではなく、一緒に企画やイベントを考える上流のプロセスから巻き込み、主体として関わってもらうことがポイントです。
このセミナーのグループワークでも、外部の人を巻き込み、団体のファンになってもらい、やがては担い手に育てる「興味・愛着・主体」を醸成するフローについて、受講者自身の団体に置きかえてデザインしてもらいました。
「団体への愛着」と「スタッフ間の仲間意識」は、人を持続的にモチベートし、活動へのやる気が向上する重要な要因であり、その関係を醸成するためのキーワードは『相互理解』です。
そのためのアプローチの方法が「新たな仲間を巻き込み、担い手を育成するためのコツ」です。
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【受講者アンケートから】
「参加する人に対する報酬という視点がなかった。参加する人は貢献するだけだと思っていた。少し視点が変わった」
「論理的に理解できた。コミュニケーションでは違いを認め、理解することが大事であることを、再認識した」
「自分の団体に引きつけて実践的に考えられたのでとても参考になった」
「具体的な行動・計画を整理するとても良いきっかけとなった。他団体さんでも同じような課題に直面していることが分かった」
「今まさに団体が直面している課題の整理と、それに対する行動(どう行動すれば良いか)について、整理するきっかけになりました」
「大切なところを何回かくり返して話してくれた。資料が充実しているのがいい。
「新しい人に何の分野をやりたいのか、この団体から何を得たいのかを、きちんとアンケートすることの大切さ。報酬の大切さ。興味がなくなったら人は去っていくということ」
<講師紹介>
NPO法人CRファクトリー代表理事 呉 哲煥(ご てつあき)さん
1974年生まれ。静岡大学人文学部社会学科卒業。
株式会社サマデイ入社後、2001年に独立・起業し、コミュニティ運営・支援事業を開始する。2005年にNPO法人CRファクトリーを設立し、現在代表理事。
「すべての人が居場所と仲間を持って心豊かに生きる社会」の実現を使命に、NPO・市民活動・サークル向けのマネジメント支援サービスを多数提供。セミナー・イベントの参加者は5,000名を超え、毎年約100団体の個別運営相談にのっている。
コミュニティ塾主宰。コミュニティキャピタル研究会共同代表。血縁・地縁・社縁などコミュニティとつながりが希薄化した現代日本社会に対して、新しいコミュニティのあり方を研究し、挑戦を続けている。

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