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【実施報告】すぐに使える!魅せるチラシデザインのコツ。

【第4回パワーアップセミナー】
「すぐに使える!魅せるチラシデザインのコツ。」
開催日時:2017年9月9日(土)午後1時半~4時半開催
参加者:30名
講師:認定NPO法人さいたまNPOセンター理事
元さいたま市市民活動サポートセンターセンター長
一級建築士・デザイナー 大工原 潤(だいくはら じゅん)さん
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 第4回目のパワーアップセミナーは、広報の講座でも大人気のチラシ講座です。定員20名のところ希望者多数により急遽10名分の席を用意し、満席のなかで講座が始まりました。
目立つ素敵なチラシを作りたい!
 そう思って、一生懸命に凝った書体や図形などソフトの様々な機能を駆使し、色々な写真やイラストも使って一所懸命つくったチラシ。でも、なぜかイマイチで目もひかず、手に取ってもらえず、参加者もなかなか集まらない。どこを変えれば素敵なチラシになるのか教えて欲しい…。
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 この講座は、市民活動におけるチラシ制作でこんな悩みを持っている人に向けて、一級建建築士・デザイナーでもあり、さいたま市市民活動サポートセンターセンター長時代に数多くの市民活動団体のチラシを見てこられた経験を持つ、大工原潤さんに「デザインの基本的な考え方やコツ」についてお話をして頂きました。
1)デザインは誰にでもできる
ポイントは3つです!
①デザインは装飾とは異なる
②デザインは情報を整理して伝える技術
③「センスがなくても」デザインはできる

 デザインの9割はセンスより論理です。デザインは感覚に基づいてつくられるものではなく、「伝えたい情報を整理することから始める論理的な行為」です。誰にでも習得可能なデザイン技術があり、最低限必要なルールさえ知っていれば一定のレベルまでは到達できるし、その後は知識+経験によってかなりの技術が向上します。センスが本当に必要なのはこの上のレベルです。つまり、論理的なコツさえ押さえておけば、誰でも「目立つ素敵なチラシ」をつくることができるということです。
2)基本となる3つのキーワード
①くっきり、見せる
②すっきり、整える
③どっきり、目立たせる


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①くっきり、見せる
 デザインは足し算ではなく引き算です。多い情報は見る人を混乱させるため、情報の重要度に優先順位をつけ、情報量を制御する必要があります。
書体は少なく、2種類の「明朝体」と「ゴシック体」を中心に使うのが基本です。それぞれの文字が持つイメージがあり、読み手にどういった印象を与えたいかで考えます。市民活動のチラシで多く使われているPOP体は、スーパーの値段表示に良く使用されている書体でもあるため、子ども向けの屋外イベントなど、元気が必要なイベントのキャッチコピー以外では使わないほうが望ましいです。
 また、読みやすい文字サイズ、行間、1行の長さで書くことも大切です。基本的に、1行の文字数は20~40文字程度、行間は1.5文字~1文字分離すのが原則です。
適切な余白があることも重要です。余白によって印象は大きく変わります。余白が空いたからといって無意味なイラストや写真をいれて、文字+イラスト+写真でぎゅうぎゅうにしてしまうのは、望ましくありません。
②すっきり、整える
 整理整頓されていない机の上では探し物が見つからないように、紙面の上に無秩序かつ適当に文字を並べず、秩序をつくることが重要です。文字や図版を「揃える」ことはレイアウトの基本です。仮想線を引いて、きちんと揃えるだけで見違えるほどよいデザインになります。また、読む人の目線を考えて伝えたい重要度の高い順番に配置をすることも原則です。
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③どっきり、目立たせる
 優先順位に沿ってメリハリをつけます。基本は大きく目立たせたいものは1つにします。そのためには文字や図版のサイズに大きな差をつける、例えば、同じ書体で太さを変える、目立たせたい文字をゴシック体にするなど。ただし、「ワードアート」に代表される飾り文字は、読みにくくなることが多いため使う場合は良く考えます。さらに、スペースを十分に設ける、目立たせたいものに角度をつけるなどの技術があります。
ここまでで、最初に見たチラシのどこがダメだったか間違い探しができるようになります!
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2)デザインの意図を見いだす
 デザインされる要素が、なぜそこに置かれているのか、その理由が分かるようになれば、デザインすることができるようになります。
ここで、受講生のみなさんに下記のチラシに仮想線(添付チラシに引かれているオレンジ色の線のこと)を何本引けるかのワークをしてもらいました。
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 正解はここに書けませんが、想定しているよりも多く、少なくとも最低10本以上の仮想線が引けます。
仮想線を引くことでデザインの根拠を見いだすことができます。文字や線などの揃っているところに仮想線、視線の流れを計算するための仮想線、紙面全体の中で、どこに位置するかを決めるための仮想線があり、デザインは計算されたレイアウトによって成立していることが見てとることができます。
 次に色彩と配色についての基本的な解説があり、色彩と配色デザインで大事なポイントは、①くっきり、 見せる…多すぎない色、読みやすい明度差、②すっきり、 整える…色相か彩度をソロエルこと、③どっきり! 目だたせる…最重要なことのみを目立つ(補色、明度差ある色等)色、の3つです。
つまり、色には色相・彩度・明度があり、それぞれの色が持つイメージがあり、無意味に好きな色を並べずに、意味を考えて上手に使うことが必要です。
3)チラシをつくるためのいくつかのテクニック
①テーマをもつ
 キヤッチコピー・図版・レイアウトが三位一体となって、テーマや製作物全体のイメージに即すアイデアが大切です。相手にどんなイメージを与えたいか、どんなイメージをつくりたいかを最初に考えます。
②構図とイメージ
 「安定感」と「動き」をコントロールして構図を作ります。シンメトリー(対称的)な構図は安定感があり、逆に左右非対称なアンシンメトリーな構図は動きがでます。例えば、余白が大きいと高級感を醸し出し、少ないと親近感がわきます。
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③イラスト・図形を使う 
 イラストには写真にはない魅力があり、イラストを描くことができなくても、非商用利用なら利用料がかからないイラストが沢山あります。市販のイラスト集やインターネットのイラスト集サイトなどを活用して選びます。ただし、作者の個性が出やすいので、テイストを揃えることが大切です。また、使用のさいは著作権に注意する必要があります。
④みやすい表・枠 
 表はヘッダを目立たせて項目名を別扱いにします。行ごとまたは列ごとに薄い地色を塗ります。ただし印刷機のリソグラフでは差異が出にくいため濃度に注意が必要です。表内文字は項目ごとに位置を揃え、罫線と表内文字との間はある程度あけます。
 線や枠は色々な機能をもっており、線を一本引くだけで画面の雰囲気が大きく変わります。枠をつくるときは、枠と中身の距離は出来るだけ同じように整えます。ただし要素が多い時に枠を使うとかなりうるさくなりがちなので、本当に囲む必要があるかよく考える必要があります、さらに、目立たせたいつもりの飾り枠なども、うっとうしいだけで逆効果になることがあるので注意が必要です。
講座の最後に、画像使用の注意点として、解像度・著作権・肖像権に関しての解説がありました。
 そしてみなさんお待ちかねの添削コーナーとなりました。全部で5団体のチラシでしたが、講座の内容を踏まえて、振り返りも兼ねたとてもわかりやすい講評となりました。また、添削チラシ毎に盛りだくさんの丁寧な解説が書かかれた資料が受講生全員に配布され、講座の配布資料と併せて、とても役立つ実践的な資料が盛りだくさんの講座となりました。
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【アンケートから】
「専門知識がなくても、わかりやすく納得できる内容でした。資料も充実したものをいただき、とてもうれしいです。活用しチラシ作りしたいと意欲がわきました。ありがとうございました。」
「とても理解しやすい内容と流れで、実例もあり、資料もそのまま実践できて、保管できるものでしたが、これまで数々のこのようなセミナーに参加しましたが、だんとつ参加してよかった!と思いました」
「実際にすぐに役立つ内容のセミナーだった。」
「なんとなくの理解ではなく、しっかり分かって実践できるものを求めていたので、参加してよかったです」
「チラシを添削していただいたこともあり、今月末作成するチラシから改良するポイントが分かった」
「計算されたデザインからのチラシの作成です。」
「デザイン=センスだと思っていたが、理論で90点を目指せるということがわかった。」
「チラシデザインを理論的に教えて下さり、わかりやすかった。今まで作っていたチラシのダメだった理由が明確になった。」
<講師紹介>
さいたまNPOセンター理事
元さいたま市市民活動サポートセンターセンター長
一級建築士・デザイナー
1958年、岡山県出身、東京・千葉・神奈川を経てさいたま市在住。
一級建築士・デザイナーとして公共施設等の設計や企業広報誌の編集に携わる。現在は、地球環境関係雑誌・書籍の校閲・デザインをはじめ、市民団体や地域イベント、芸術団体のチラシやパンフレットのデザイン等に幅広く携わっている。
市民団体のチラシ作りで、すぐ身につく技術を誰にでも分かりやすく伝える講座は、参加者に好評を得ている。

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