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実施報告「団体の魅力をぎゅっ!と伝える三つ折りパンフをつくる。」

【第5回パワーアップセミナー】

「団体の魅力をぎゅっ!と伝える三つ折りパンフをつくる。」

開催日時:2018年9月29日(土)午前11時~午後4時半開催

参加者:17名

講師:小さなNPOを応援するグラフィックデザイナー  林田 全弘(はやしだ まさひろ)さん

 

団体の活動を伝える広報物は色々ありますが、なかでも3つ折りパンフ(リーフレット)は欠かせません。携帯しやすい3つ折りパンフは団体ミッションの顔でもある反面、なんでもかんでも伝えたいことを欲張って載せてしまうと、その効果が半減します。

第5回目のパワーアップセミナーは「魅力的な三つ折りパンフをつくる」講座が全国で大好評の林田さんをお迎えし、お昼をはさんで午前午後で4時間という初めての試みです!

午前中は座学、午後からワークと講評という構成で、団体の魅力を考えて「ぎゅっ!」と伝えられるような三つ折りパンフを考えられるようになっています。会場には、林田さんが各地で集められたバラエティに富んだ3つ折りパンフが展示されました。

このセミナーは

①三つ折りパンフづくりの3つのステップ(整理、発想、表現)→②手書きラフづくりワーク→

③手書きラフの講評、の流れになっており、最終的には下記のような手書きラフを作成します。

最初に、林田さんから「本日の講座で一番伝えたい大事なことは、「内容」よりも先に「目的」をきめること」とのお話から入りました。

NPOあるあるとして、最初にパソコンを開いてつくり始める例が多くみられるけれども、パソコンは仕上げ用のツールであり、この講座でもパソコンは使いませんでした。

 

1)三つ折りパンフづくりの3つのステップ

1-1.整理について

整理のコツは「課題、目的、作戦、内容」の順番で紙に書き、団体のものさし(=基準)を決めることです。NPOあるあるでは、整理の前に「何を載せるか」を最初に考えてしまいがちだそうですが、三つ折りパンフは「目的によって伝えたい内容が変わる」ため、「目的を最初に決めないと、最適な内容も決まらない」との説明がありました。

ここで、3団体の具体的なパンフ事例が紹介されました。

①活動説明を目的にした事例、②サービス・施設誘導を目的にした事例、③寄付促進を目的にした事例です。

①は見開きの左側に「大事にしている想い」をメッセージで明示、右側に活動内容をわかりやすく理解してもらうために活動内容を図式化されていました。

②の事例では、中面全部を使い、この場を利用することで得られる「いいこと」を明示、読み手がここに来ると、どのようにハッピーになるか、幸せになるか、どう良くなるかが具体的に表現されていました。つまり、

目的が「提供サービスの関心を深め、新規利用につなげてもらうこと」だとしたら、

内容は「利用することで得られる「いいこと」を明示」することになります。

③の事例では、「寄付によって得られる成果」と「寄付の恩恵を受けた受益者からの声」が書かれています。

目的が「気持ちよく寄付してもらうこと」だとしたら、

内容は「寄付によって得られる成果や受益者からの声を伝える」ことになります。

ここで配布された整理シートを使って、発想をスムーズにする頭の整理ワークを行いました。

①課題について書き出す

「普段感じている・抱えている広報の課題」「現状のパンフに対する不満」「団体紹介をする際に感じる不満」など、例えば「活動デーマの認知度が低い」「活動内容が煩雑で説明しづらい」「会員がなかなか増えない」といったものです。

団体で行なうときは活動する全員に関わってもらい、パンフをつくる前に聞くことが大切です。

②目的を書き出す

三つ折りパンフを通じてやりたいこと、相手にしてほしいことを3つ選び優先順位を考えます。

例えば、「どのメンバーでも活動内容を説明できるようにしたい」「ボランティア希望者を増やしたい」など。今回は、配布された別紙に書かれた一覧のなかから「今回つくる三つ折りパンフを通じてやりたいこと」「相手にしてほしいこと」についてそれぞれ3つ選び、優先順位をつけてもらいました。

③作戦を書き出す

作戦は「目的を達成するための作戦」です。何をどうしたいのか、例えば公共施設に置いてもらうためには何部必要かとか、

応援したくなる信頼感のある団体はどんな色のイメージかとか、次のアクションをとってもらうためには、どの優先順位でどのように情報を掲載するかなど、具体的に考えます。

最後に「目的」「作戦」をふまえて、何を載せたいか「内容」を考えていきます

例えば「ロゴマーク」「事業の説明」「ミッション」「住所」「これまでの実績」などなど、リストアップして取捨選択していきます。

次にこの「整理シート」を導入して制作されたパンフレット事例が紹介されました。

ポイントは「団体が伝えたいことを何でも載せると読み手は困る」ということです。

整理して良かったことは ①広報のモヤモヤがすっきりした ②議論をデザイン制作前に終わらせた(整理の議論とデザインの議論を分けられた。例えば、書体・色・何のため・どこで配布するか?など)③「今回それは載せないんですよ」と言えた(アイデアを選抜する基準として整理シートが役に立った。

1-2.発想

発想のコツは何をどのように配置するか手で考えることです。

手で考えること=ラフスケッチを書くことで、ポイントは雑にいくつも書くことです。雑にかくことでアイデアがわいてくるし、パソコンの前で考えるよりも、時間短縮になります。

ここで、写真や文字の表現方法やレイアウトなど書き方のコツを教えて頂き、実際のパンフの表紙をラフで書いてみるワークも行ないました。

1-3.表現

表現のコツは「レイアウトは話す順番で」「他者の声と写真で伝える」です。3つ折りパンフは全部で6面ありますので、基本的には話す順番でレイアウトを考えます。表紙と中面の一番左には、あまり情報を詰め込まないこともポイントです、

また、他者の声に左右される時代であり、ボランティアの意思決定に影響を及ぼしやすいので、自分たちの活動のいいところを人に言ってもらう(活動に参加した人や受益者のコメントを顔写真付きで載せるなど)ことも効果的です。

ここで座学が終了しお昼休憩になりました。お昼を持参された参加者は林田さんと一緒にランチタイム。楽しそうなプチ交流会となりました。

午後は「書きラフづくりワーク」と「講評」です。

②手書きラフづくりワーク

午前行った座学やワークを基に、各自、自分の団体(つくりたい団体)のパンフのラフ作りです。

机から離れて展示パンフを参考にしたり、林田さんに直接相談したりしながらのワークです。

最初のラフ作りの途中段階で受講生全員が1人90秒のプレゼンを行いました。

聞いた人はポストイットに「いいな」と思ったことと「こうすれば良くなる」を書き、回収されたポストイットを発表者に渡します。受講生は17人ですので、17回この作業を繰り返しました。

そして、いただいたご意見をもとにラフの完成に向かいます。

最後に、3団体限定で林田さんから講評を頂きセミナーは終了しましたが、林田さんに相談したい熱心な受講生が何人もいらしたため、フリースペースでアフターセミナーとなり、林田さんは最後まで熱心にお付き合いくださいました。

初めての長丁場の講座でしたが、ご自身もNPO向けの3つ折りパンフをいくつも手掛けてきた林田さんだからこその貴重なアドバイスと経験が盛りだくさんの非常に満足度の高い講座となりました。

 

【アンケートから】

「先生、皆さんの意見をもらい、改訂のための大きな材料として活用したいと思う。」

「パンフの作るポイントが良くわかりました。むずかしいのですが、メンバーで話し合いながら作ったら楽しそうです。」

「ワークと講座がなかなかハードではありましたが、うまくかみあって時間が経つのが早かったです」

「まず、作業から入ったので、手前味噌なパンフになっていたと思います。メンバーとも話し合い、課題に向けたパンフにしていきます」

「特にワークがチラシ以外のことでも参考になりますね!「他者の声と写真で伝える」のアドバイスがかなり参考になりました」

「参加型の講習で、皆さんの発表も聞けて長時間なのにあっという間でした。一定の時間内で全員でラフを作って発表して、感想書いてというリズムが良いと思います」

「普段、感覚でつくっていたので、言葉で説明していただけると助かりました!三つ折りは置くが深くて大好きなので、勉強できてよかったです!」

 

【講師紹介】

小さなNPOを応援するグラフィックデザイナー

林田全弘(はやしだまさひろ)さん 

 

1979年、横浜市出身。大阪市在住。

大学時代のNPO活動を通じて広報物制作に触れるうち、「NPOにおけるデザイン・広報」の重要性を強く感じてデザイン会社に就職。

その後独立し、これまでNPOのロゴやリーフレット、チラシなど、40団体100件以上の広報物を制作。現在は講師活動も精力的に行っており、初心者にもわかりやすく「現場で使える」ワークも取り入れた実践的な講座スタイルは、各地で好評価を得ている。

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