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U50   第47回 安斉遼平さん

アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。

安斉遼平 さんプロフィール

安斉さんプロフィール

なかよしの家 主任(NPO法人なかよしの花)兼介護士
旅人美容師
宮前区在住

NPO法人なかよしの花が運営する、重度障がい者のグループホーム「なかよしの家」で働く安斉さん。
もともとは、美容室で美容師として働く傍ら、なかよしの家の利用者の髪をカットしていたことをきっかけになかよしの家に勤務するようになりました。
「いずれは、介護職の経験を活かしながら、世界一周して子ども達の髪をカットしたい」と語る安斉さんの活動のきっかけや大切にしていることなどをお話しいただきました。

なかよしの家との繋がりのきっかけは、「ヘアカット」

なかよしの家との繋がりのきっかけは、「ヘアカット」

かわさき市民活動センター職員勝野(以下、勝野):もともとは、なかよしの家を利用されている弟さんの髪をカットしていたのをきっかけに、他の利用者さんから髪を切ってほしいと頼まれたんでしたよね?

なかよしの家主任安斉さん(以下、安斉さん):はい、そうなんです。利用者さんのお母さんから、「美容室に行くと動いてしまって大変だし、長時間同じ姿勢でいると集中力が途切れちゃうから好きな髪形を選んであげられない」という話しを聞いたので。

勝野:そうなんですね。確かに、通い慣れていない美容室はなんか緊張しちゃいますよね・・・。その点、グループホームで友達のお兄ちゃんにカットしてもらえるって安心ですよね。

安斉さん:カットされる方ができるだけ快適に過ごせるよう、スタッフで色々と試行錯誤を重ねました。車いすに乗ったままの方が安定するねって発見したり、入口の洗面台の方が使い勝手がいいねって話し合ったりして。半年ぐらいかけて今の形にたどり着きました。カットした髪が散らばらないように、ヘアキャッチャーを付けて衛生面にも気を配っています。

なかよしの家との繋がりのきっかけは、「ヘアカット」

勝野:美容師時代になかよしの家の利用者さんの髪を切ってあげてたとのことですが、海外に行かれて子どもたちの髪を切ってあげていたというご経験もありますよね。どういう経緯で始められたんですか?

安斉:20歳の時に、NPO CFFジャパン主催のツアーに参加したのがきっかけです。高校生と大学生20人位で、ブランコを作ったり、巨大なプリンを作ったり、ソーラン節を踊ったりといった企画を持ち寄り、孤児院の子ども達と交流するツアーでした。その中の一つとして、自分のできることで子どもたちを喜ばせられるとすると、髪を切ることだと思ったんです。そこから、毎年ツアーで訪れた孤児院を含め、フィリピンやマレーシアなどで美容院に行きたくても行けない子ども達の髪を切っています。

なかよしの家との繋がりのきっかけは、「ヘアカット」

勝野:そうなんですね~。まず、そのツアーに20歳で自主的に参加したい!って思ったのがすごいですよね。そう思ったきっかけって何なのでしょうか?

安斉:それは、高校生の時に起こった東日本大震災です。その被害状況をテレビで見た時に「自分に何かできないのか」と強く感じました。速攻で高校のインターアクト部の顧問にメールして、高校3年生の春から急遽インターアクト部に参加し、街頭の募金活動を始めました。その活動をSNSにアップしたところ、昔のバイト先の先輩から紹介してもらったのがCFFジャパンのツアーでした。

勝野:そういった経緯があったのですね。自分に何かできないかと感じて、行動に即移せるところがすごいですよね。

まずは、知ってもらいたい。

まずは、知ってもらいたい。

安斉:実は、一人前のスタイリストになったら、世界一周して、世界各地の美容室に行けない子ども達の髪を切ってあげたいと思っていました。でも、ちょうどそのタイミングでコロナが大流行してしまい、一旦その野望は保留にしていますが、介護にもともと興味があったので当時の所長さんに誘われて、なかよしの家の職員として働くことになりました。

福祉のことは、まだまだ勉強中ではありますが、知らないからこそ常識に縛られず、利用者さんが快適な生活をできるように自分がいいなと思ったことは、どんどん提案するようにしています。

勝野:地域を巻き込んだお祭りとか、インスタも安斉さん主導で、かなり力入れてますもんね。

安斉:例えば、NPO法人なかよしの花の理念の「誰もが安心して暮らせる地域」をベースに考えると、障がい者の日常とかどんどん発信したいなって。

公園行ったり、買い物したり、おしゃれしたり、できることならしたいなってことは誰にでもあって、障がいがあってもなくても、それが当たり前にできる地域になったらいいなって思ってます。

まずは、知ってもらいたい。

勝野:そうなんですね。わたしもそんな地域になったらいいなと思います。例えば、私たちが地域の一員として、できることってなんでしょうか?

安斉:皆さんの住んでいる地域にも障がいを持った多くの方が生活していることを、知らない方にはまず知っていただきたいです。その上で当たり前にあるご近所付き合い、例えば道ですれ違う時挨拶したり、家に来て一緒に遊んだりする中で、お互いのペースでより深く関わり合っていけたらいいなと思います。

勝野;当たり前のご近所付き合いって重要ですね。ちなみに、皆に知られていないな、という感じがしますか?

安斉:「こわい」といったネガティブな印象がある方も中にはいると思います。確かに急に動いてしまったり、大きな声を出したりすることもあります。だから、どう関わったらいいかとか含めて知ってもらいたいです。そうすれば、お祭りとかイベントとか地域で一緒にやったら、もっとみんなが楽しめるだろうなと思ってます。

髪を切るのが仕事じゃない、人を繋げるのが仕事。

髪を切るのが仕事じゃない、人を繋げるのが仕事

勝野:唐突ですけど、座右の銘とかってありますか?

安斉:心に決めている言葉ならあります。「美容師は‘‘切る‘‘仕事じゃなくて、‘‘繋げる‘‘仕事」

勝野:おお!(拍手)

安斉:プロフェッショナルっぽかったですか?(笑)でも、本当に繋がりは大切だと思っているし、大切にしたいとも思っています。現に、繋がりから、巡り巡ってなかよしの家で働かせてもらってますし、なかよしの家に関わってくれている方にも感謝しています。コロナがなければ、世界一周に行っていましたが、コロナになってなかよしの家で働けたからこそ得られたこともたくさんあります。

勝野:すごい。前向きですね。逆境をも楽しんでるというか、パワーを感じます。

安斉:確かに、その瞬間はへこむんですけど、何でも前向きに変換している気がします。唯一自分がどう思うかは、自分で決められるので。世界一周をして子どもたちの髪を切るという目標は時節柄、なかなか実現しそうにないですが、福祉の世界に入ったからこそできることに関連付けながら、いつか叶えたいと思っています!

(取材担当:勝野 取材日:2022年4月25日)

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