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実施報告「必ず人が集まる!イベントの企画・運営の極意」

【第1回パワーアップセミナー】
「人が集まる。参加したくなる。イベントの企画・運営の極意」
開催日時:2018年5月12日(土)午後1時半~4時半開催
会場:かわさき市民活動センター 会議室
参加者:29人
講師: NPO法人 CRファクトリー 事業部長
五井渕利明さん
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今年度最初のパワーアップセミナーは、毎回大好評の「イベントの企画・運営」です。
講師は、本テーマの第一人者であるNPO法人CRファクトリー事業部長の五井渕利明さんをお迎えしました。イベントに人が集まらないのは原因があります。今回の講座では「運営」だけではなく、そもそもの「企画」設計自体の考え方にも着目しました。
本講座はグループワークの時間が多く設けてられています。個人で考えるだけではなく、受講者同士でワークをすることでより理解が深まる流れになっているので、定員数20人のところ29人まで受け付け、当日は6人×5グループで受講して頂きました。


★なぜイベントをするのか
市民活動におけるイベントは、「基本的に儲からない」という大前提があります。従って「収益を得るためにイベント」することが目的ではありません。
講座のイントロダクションは
1)なんのためにイベントをするのでしょう?
2)なぜイベントが重要なのでしょう?
3)イベントはどのような効果をもたらすのでしょう?
について考える個人ワークとグループワークから始まりました。自己紹介とグループワークを最初に行ったことで、参加者同士の交流や共感が生まれ、会場全体が和やかで熱気のある雰囲気になりました。
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イベントが重要な理由は、目的に応じて「サービス・価値提供」「マーケティング/ブランディング」「人脈・ネットワーク開拓/関係性強化」「スタッフの成長/組織内求心力の向上」の4つのパターンがあります。
「サービス・価値提供」については、知識や学びを提供することで対象に良い変化を起こし、リアルな体験ゆえに学びや変化の質が高くなります。
「マーケティング/ブランディング」については、団体やその活動を周知するのは時間がかかります。しかし、イベントを開催することで一度に多くの人にその認知を図ることができ、イベントに参加してもらうことで団体へのファンを獲得できます。
「人脈・ネットワーク開拓/関係性強化」については、イベントは様々な分野の人が関わるため、多くの出会いや人脈が生まれそれが蓄積され資産となります。
「スタッフの成長/組織内求心力の向上」については、イベントに向けて団体内が団結してまとまり、スタッフの育成・成長の機会になります。イベントの運営・開催は「参加者も運営者も楽しめるイベント」作りがポイントになります。
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次に「イベント企画・運営」の全体像の説明に入りました。
「イベント運営の全体像」は、下記の7つのステップがあります。
①チームビルディング
②企画設計
③告知リリースまでの準備
④集客
⑤開催当日までの準備
⑥当日運営
⑦イベント終了後

★チームビルディングは一番重要
イベントはチームなくしては成立しません。「良い関係」「良い成果」につながります。
そのためにも、時間をかけて信頼関係を構築することが重要であり、「このチームに参加すると楽しい」と感じてもらうことが大切です。相手がどう思っているか相互理解がなされない一方的な関係は、チームが分解する危険性があります。また、ボランタリーな活動だからスタッフは誰でもOKとするのではなく、そのイベントのスタッフとして向いているかどうかを考え、チーム構成する必要があります。
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★イベントの企画設計の始め方・進め方
「イベントの企画設計・集客の全体像」、【コンテンツ(企画内容)】【ツール(集客の道具)】【情報発信(Webやお誘い、口コミ)】+【粘り強さと意地と手数】です。
魅力的なコンテンツをつくり、それを広めるための道具を整え、あとは結果が出るまで粘り強く手数を多く打つことがポイントです。
イベント集客が上手くいかない理由として
①魅力的なコンテンツ(イベント企画)ではない、②参加者のニーズを把握できていない、③良い告知文章がつくれていない、④ウエブサイトがない・更新されていない、⑤かっこいいチラシがつくれない
⑥告知先がわからない、などの課題がありますが、「イベントの企画・コンテンツ自体が魅力的か」を検討する必要があります。
イベントに参加した人が「おもわず友人・知人に紹介したくなる」、スタッフが「心から自信を持ってすすめられる」コンテンツが理想的です。
ここで、たっぷりと時間をかけて「企画設計ワークシート」を使ったワークを行いました。
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 イベントの設計は、6W(Why・目的、What・内容、Who・推進体制、Whom・ターゲット、Where・場所、When・日時)3H(How・運営・スケジュール、How much・費用、How many・数量)の法則で多角的・網羅的に考える必要があります。
イベントの企画設計の手順は、①自分たちの「やりたいこと」「思いつき」を出し合ってイメージを作り、②ディスカッションでなるべく全員が納得した方向性(目的やゴール)を決め、③「ターゲット」「制約事項」「ステークホルダーのWIN・事情」などを思考に入れて固めていきます。
また、「誰のため?」「何のため?」のイベントなのかを設計段階でしっかりと考え、途中でぶれたりしないことも重要です。さらに、自分たちの企画として主語を自分たちで考えがちですが、イベントに参加をする相手を主語にして考えることもポイントとのお話がありました。
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★集客のツール(道具)と情報発信
 イベント集客を成功させるためは、魅力的な集客のための【ツール(道具)】が必要です。
「告知文章」「ウエブサイト」「チラシ」が三種の神器です。とくにこれら媒体で使用するキャッチコピーやリード文章などは最重要なので、メンバーみんなで知恵を出し合って良いものにすることが大切です。また、すべてにおいて「見栄えのよい」写真を用意することが望ましく、全体を俯瞰した写真、被写体に近づいた写真、ポイントを絞った(手元など)写真など、バリエーションがあると尚良いとのアドバイスがありました。
 「告知文章」は、「伝えたい内容」「魅力づけになるポイント」「ターゲット」について因数分解することから始めます。
「情報発信」は、イベントのターゲットによってメディア(伝達手段)を考える必要があります。
つまり、「参加して欲しい人たちに情報を届ける」ことが重要です。さらに他団体・影響力のあるキーパーソンを巻き込んで広報協力してもらうことも良い手法です。そのためにも普段から「マイメディアリスト(告知先リスト)」を作成し、メンバー全員で共有することが肝心です。
 それでも最後にイベント開催の勝敗を決めるのは、【「強い気持ち」と「粘り強さ」】【意地と手数】とのお話がありました。集客では、運営側がこだわりと根気を持って、手数を増やすことが重要だとのお話しがありました。
★イベント当日運営
 イベント当日は、①スタッフ一人一人が団体の代表としての意識を持ち、②会場全体に目を配り主体的に対応し、気付いたことは自分が解決するつもりで身体を動かし、③スタッフ自身が楽しむことが、参加者満足度を上げます。
 受付開始からイベントスタート時にトラブルやイレギュラーが発生しやすく、直ぐに責任者に連絡できるようにしておくことも重要であり、イベントアンケートの結果が良くても、スタッフの対応に問題があると、減点ポイントとなり次回の集客につながらない、とのお話しもありました。
ここで「嫌なイベント・素敵なイベント」について、ワールドカフェ方式で共有をしました。特に「嫌なイベント」事例は、どのグループも非常に盛り上がり、今後参考になる意見が活発に交感されました。
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★イベント終了後
 団体がイベントを開催することの意義についてのお話がありました。
 イベントを開催することの意義は、①事前の告知で団体や活動の認知向上を図れる ②イベント当日に参加者の方に価値を提供しつつ、認知向上を図れる ③イベント終了後にSNSのページやメールなどで、イベントの報告とお礼をすることで、団体の認知向上が図れる、という3つのおいしいポイントがあります。
 最後に、本日の講座の「学び・気付き」について、個人ワークとグループ共有を行い、本日の学びやノウハウをしっかり振り返りました。
【アンケートから】
「説明がわかりやすい。進行が完璧。ワークショップの時間配分がよい。資料の内容がすぐにつかえる。」
「一人で思っていたことが周りの人も思っていてよかった」
「自分が分かっていなかった点がクリアになった。すぐ取り入れられるリストや見える化の案が持てた。」
「実践をふまえて、良い点・悪い点を聞けてよかったです」
「一方的に聞くだけでなく、グループワークを通して参加者の方々と話ができ、とても充実していました」
「チームビルディングの大切さを知る事が出来たのはとても大きな事でした。立ち上げをする前に知る事ができて、良かったです」
「先生のお話もわかりやすかった。参加者同士で話し合う時間があり、参考になった。知りたいこと、集客のための告知の仕方など」
「どれも得られたものは大きかったです。目的や柱にするもの、チームビルディング、知ってよかったです」
<講師紹介>
2011年CRファクトリーに参画。2012年度から内閣府地域活性化伝道師に就任。数多くのコミュニティやプロジェクトの運営実績から、幅広い知見やバランス感覚に定評がある。行政職員としての勤務経験から市民・行政の両面から協働の支援が可能で、営利企業でのビジネス経験も豊富。NPO・行政・企業、すべての視点を兼ね揃えていることが強み。
多くの協働事業のコーディネートを手がける他、講師・ファシリテーターとしては年間100回以上の登壇がある。
CRファクトリー以外にも多様な組織の経営や事業に参画している。
映画制作会社FireWorks(プロジェクトコーディネーター)、株式会社アンサング(ディレクター)、株式会社ウィル・シード(研修講師)、など。

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