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U50   第18回 福地 真吾さん

アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。

福地 真吾 さんプロフィール

福地真吾さんの写真

福街(ふくまち)不動産 代表
モトスミ・オズ通り商店街 青年部長
横浜市港北区 在住

不動産業と町の人々との結びつきは

福地真吾さんの写真

「福街(ふくまち)不動産」という社名は、自分の名字とハッピーなイメージの漢字を合わせてアピールするようにと決めました。2016年7月に、ここ元住吉にオープン。おかげさまでこの夏に3年目を迎えることができました。このお店を開いた目的は、「街と人と住まい」をテーマに皆が町を知って、より一層楽しく暮らしていけるようなお手伝をしたいと思ったからです。

実はこの会社を立ち上げる前は、大手不動産会社に長年勤務、武蔵小杉、日吉、菊名など色々な町の姿を見てきました。そこでは、自分の営業成績を上げるために必死にお客さんと売買契約を結び、物件の引渡しをしたらそれで終わりです。契約する人を大切にと、色々な相談ごとに親身に答えても結局その場限りで、縁というものがフェイドアウトしていく寂しさを覚えました。勤務していた十数年間その繰り返しで、自分が人と繋がらない不満をずっと抱えていたのです。だから、独立して不動産屋という店を構えたら、町の人と一緒にイベントを開き、絆で結ばれたいなと思っていました。サラリーマン時代に、独立後のアイディアだけは頭の中に、あれもこれもと山のように積み上げていましたよ(笑)。

町の人々を巻き込んだ活動「福街マルシェ」とは

楽しく飾り付けられた店内の様子の写真

私は元々、堅苦しい事務所の雰囲気ではなく、オープンスペースのような不動産屋の店にしたいというイメージがありましたので、店にはけっこう悩みました。たまたまこの店は、元は喫茶店で、間取りの可愛さとコンパクトな作りで一目見た途端、まさにここなら自分の不動産屋が立ち上げられると思いました。

全面スタイリッシュな白壁で、太陽光線が2面の窓から燦々と降り注ぎ、お客さんからは入りやすくて快適と評判です。駅から少し遠いですが、近くに有名な整形外科医院があるので、とても目印になっていて、よくその医院を探して飛びこみのお客さんも入ってくるほどです(笑)。

まず活動のスタートは、お金のかからない手段として、ツィッターやフェイスブックをフル活用して、町のさまざまな情報を発信しました。気をつけたことは、営利のことは考えず、主催イベントや町への想いをブログに載せたということです。ほとんど毎日のように商店街の飲食店でランチを食べ、店主やそこに来ていたお客さんと友だちになりました。多種多様なメンバーによる多種多様なコラボのイベント・アイディアを出して貰うためです。まずは動物病院長、食料品店主、コーヒー店主、パン料理家、小物作りの名手が集い、ご自慢の品やスキルで販売やワークショップを行う「福街マルシェ」というイベントを開きました。そのための会議やイベントの会場はもちろんうちの店です。

そのほかのイベントは

イベント開催中の看板の写真

福街マルシェ以外に今年の5月からは、月1回のイベントを続けています。絵本の読み聞かせ、町の家々を見ながらの「町ツアー」、ペットの飼い主さん集合の「モトスミわんにゃんタウン」などです。「モトスミわんにゃんタウン」は動物病院長とペットショップ店長と私の3者コラボで、ペットの飼い主さんが気軽に集まって情報交換コミュニティーを開いています。言わば、ペット連れパーティーです。雨の日はペット連れも大変ですが、皆さん何のその、で集まりますよ。不定期なイベントとしては「おうちパン屋」と称した親子パン教室やアイシング・クッキー作りです。また、餃子会は特に盛り上がりますね。

また、「福街蚤の市」も開設中です。いつでも未使用の食器を持ってきてくだされば、1枚100円で売らせていただいてます。売上金は、集会のときの皆さんのコーヒーに還元しています。この蚤の市を開いて良かったなと思うのは、食器を話題に町の人と話す繋がりが広がったということです。「この有田焼は頂き物なんですけど、使う時期を逃してしまって・・・」など、本当に町の人の声を身近に聞けて、自分のイメージだった「街の不動産屋さん」に近づいたなあとしみじみ思いますね。

この7月には、3周年記念イベントとして、大々的にバージョンアップした福街マルシェを開催し、皆さんの協力のもとに和気藹々と楽しく成功を収めました。

特にアイディアが評判を呼んだ「福街プロジェクト」とは

傘プロジェクトで使用している傘を広げている福地さん

このように私が、人々と一緒に活動したいと頑張れるのは、過去の想いがあるからです。大手会社の営業のときに社内で「夏祭り」を開こうかとの話もあったのですが、どうにも忙しすぎて実現できませんでした。もしあのときに実行できたら、どんなに喜んだお客さんの顔が見れただろう、本当にもったいないことをしてしまったという思いを引きずりました。だから、それ以来、自分のできそうなイベントを山ほど考え、独立したらぜひともトライしようと温めてきたのです。

バージョンアップした「福街」ならではの特色あるプロジェクトを考えたとき、1つは傘のリユースでした。これが「福街Kasa Project」です。まずは、知人のデザイナーに目立つ黄色の傘のロゴを考えてもらい、その傘を300本作成、購入し、それを雨の日に元住吉駅前で通行人に配り、返却場所はうちの店か商店街の協力店の20店舗です。このプロジェクト計画を実行した初日の思い出は忘れられません。雨が降り出した途端に、自分一人で「それ行け!」とばかりに駅前で配ったのですが、もう恥かしくて恥ずかしくて・・・(笑)。傘を差し出された人も「何事か?」と引いている状態でした。それでも地道な傘配りの実働を重ねていると、効を奏したか、あの300本の傘もこの店内に20本を残すのみとなりました。280本がきっと色々なお店に回収されて急な雨の日に役立っているかと思うと、私も町作りの一端に関われたかなとやりがいを感じています。

そして、もう1件のプロジェクトが「元住吉スタディーフリールーム」です。一言で言えば「無料勉強処」です。これは、自分が夜遅くまで店内でデスクワークをしていると、メリハリがなくて効率が悪いので誰か私の見張り役がいれば、はかどるのになあという単純な発想が基本ですよ(笑)。週に1回、ネット予約優先で7人位、夜7時から10時まで店内で椅子とテーブルをお貸しして自由に勉強に使っていただこうと開放。「モトフリ」という、呼びやすい通称も決めました。すると思いのほか好評で、資格試験のための受験勉強や残業の税理士など、さまざまな利用者から予約が入りました。利用者の平均年齢は女性も含め30歳代でしょうか。1時間に1回、10分休憩を取り、自由に軽食を取ったり、隣席の人と話したりするコーヒーブレイクも作りました。もちろん、途中の入退出自由、休憩時間もその人なりに合わせて自由ですが。

活動を通して、メッセージを

福地さんのお店外観

自分の発信したツイッターやフェイスブックの反響に驚きました。私のつぶやきに「心がほっこリする」「ピンポイントを押さえていて読みやすい」との返信にパワーを貰えましたし、レストランシェフからは「美味しそうな料理の撮り方」などのアドバイスもいただきました。私の活動が軌道に乗ったのも「店内をお借りしてやってみたいことがあるのですが!」とか「親子でイベントを考えてます!」などなど、読者からのお声がけが大きいです。本当にありがたいことです。
これからの課題としては、まだまだやりたいことがたくさんあります。具体的には駅前にもう1軒、モトフリを開き、アルコール持込のフランクな日も設定したいし、傘プロジェクトももっと手軽な返却手段はないかなとも考えています。また、自分がテレビのドラマ鑑賞が好きなので、ドラマを題材に感想を話し合うコミュニケーションの場も提供したいですね。

自分が活動して良かったと思うのは、町の人々と同じ目線になって語り合えることです。今まで忙しさを理由に日常スルーしていたことに、あらためて気づき興味を持ちました。人から聞いて勉強になったこともたくさんあります。だから、お返しといっては何ですが、私も自分の企画で、周りの人を喜ばせたいなと思っています。それに小さい頃から家にじっとしていられない性格だったので、人と話したり、外に出て色々な建物を見たりするこの活動は自分にピッタリなのではと思う日々です。

もしこれから、何か活動を始めたいと思っている方がいらしたら、本で学ぶのも良いですが、まずは実践したほうが、読むより面白いことがたくさんありますよ。私がそうでしたから。イベントを開く基本は、頑張っても無理はしないことです。社会貢献ももちろん大事ですが、自分の想いも大切にしてください。それが続けるコツです。そして、人の喜ぶ笑顔を見ることは最高の幸せに通じるでしょう。

現在、10月6日のオズ通り商店街「オズ・フェスタ」に向けて商店街の仲間や知人らと頑張っています。目標は我らのゆるキャラ「おずっちょ」を全国ゆるキャラグランプリ大会の100位内入賞を目指しています。そしてこれを読んだ皆様には、ぜひとも「おずっちょ」の応援投票をよろしくお願いいたします。当日はバナナの叩き売りを企画しています。どうぞ、遊びにきてください!お待ちしてます!


〈問い合わせ〉info@fukumachifudousan.co.jp


2019年8月16日取材 レポーター 町田香子

お問い合わせ

次回のエースはこすぎの大学 岡本克彦さんです。

こすぎの大学 岡本克彦さんへ一言

福地真吾さんの写真

「こすぎの大学」を引っ張ってる岡本さん。優しくてハンサムで皆に慕われてますね!これからもどうぞよろしくお願いいたします。

バトンを受け継いで 福地 真吾 さんへ一言

岡本克彦さん

「こすぎの大学」の部活動の第1号として、ご近所を自転車で散歩するポタリング部を立ち上げていただきました。福地さんからは「楽しくチャレンジする姿勢」というエネルギーをいただきました。これからもよろしくお願いいたします!

(C) 2022 公益財団法人かわさき市民活動センター 
市民活動推進事業