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U50   第19回 岡本克彦さん

アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。

岡本克彦 さんプロフィール

岡本克彦さん

こすぎの大学 企画運営メンバー
中原区在住

「こすぎの大学」とは

岡本克彦さん

大人から子どもまで、武蔵小杉に在住、在勤、地元が大好きな人たちが集まる、自由で広く楽しく学んで繋がる「学び舎」です。

いろいろな形でこの街に関わる人々が自分の経験や知識を共に分かち合い交流し、より良い街作りを考え、そして街の魅力を再発見していきたいと考えています。モットーは「誰もが先生役、誰もが生徒役」です。具体的には、毎月第2金曜に、あらゆるジャンルからその時々に合ったテーマで先生役から話しを伺い、参加者(生徒役)同士でワークショップ的に対話を通じて研鑽を高めていきます。

成り立ちのきっかけ

こすぎの大学岡本克彦さんの名刺

元々、私は武蔵小杉にあるNEC(日本電気株式会社)に勤務しており、そこで年齢や役職に関係なく、共にアイディアを出し合い仕事に生かす「ムサコ大学」というネットワークを立ち上げていました。社内で2年間活動を続けましたが、自分が住んでいる武蔵小杉のことを全然知らないし、何よりも知り合いが一人もいないことに虚無感を抱いていました。

そんなときに、NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント主催の「こすぎナイトキャンパス読書会」に参加したのですが、そこで意気投合した仲間と一緒に2013年9月に「こすぎの大学」を立ち上げました。NECの外に出て活動したい、武蔵小杉の人たちと繋がりたいと思う僕の気持ちと、読書に加えて他テーマも試みたいという仲間の気持ちが一致した結果でした。

「こすぎの大学」を企画運営しながら色々なノウハウが蓄積され、数年前から誰もが参加者でなく主催者になれるようにノウハウ集も公開しています。
例えば、参加費を有料にして、自分への投資だと考えること、ニックネームで呼び合うことで本音が言えるようになること、自己紹介用に学生証に見立てた名刺をコミュニケーションに活用すること、繋がった人たちが開くいろいろなイベントに積極的に参加することなどです。

講演の具体的な内容は

こすぎの大学当日の様子

2013年9月から2019年の9月までの6年間で、82回の授業を開催してきました。授業スタイルの幅も広がり、数年前からは8月は夏休み企画として親子向けのイベントも開催しています。事務局メンバーや参加者の方々と一緒に、よくぞここまで続けてこれたなぁと、感慨深いものがありますね。「こすぎの大学」を、自宅でもなく職場でもなく、第3の居場所・サードプレイスとして皆が自然に受け入れてくれたことでしょうか。事務局メンバーとは、誰もが参加しやすいだけでなく、抜けやすく、戻りやすく、主役にも脇役にもなれるような場所を心がけ、同様のコミュニティが第4の場所、第5の場所と増えるとよいなと思っています。

82回の講演を振り返ってみて、1つ1つが思いで深いものばかりです。周りの人からも、「一番印象に残ってる授業は?」とよく聞かれるのですが、たくさん有り過ぎて困ってしまいます。その日その日の自分のモチベーションで思い出す会が違いますから(笑)。

今日のインタビューを通じて思い出すのは、第5回目にパークシティ溝の口でマンションコミュニティの話をしてくださった山本美賢さん(ヤマちゃん)の授業。奥様がこの「アンダー50」の第5回目に登場した「溝の口減災ガールズ」の山本詩野さんです。ヤマちゃんの授業を通じて武蔵小杉だけに向いていた目線が川崎全体に広がった感がありました。

また、「こすぎの大学」の方向性が見えて転機になったのは、第9回目の当時の副市長の三浦淳さんの授業。市民と対等の立場でお話をしてくださり、大変感激しました。勝手に遠い存在だと感じていた行政との接点ができて嬉しかったですね。

これらのたくさんの講演の積み重ねがあってこそ、今の82回目があるのだと思います。

部活動の登場

2017年に活動が拡大。毎月1回の「こすぎの大学」の基本の座学から派生したものを「部活動」と称し、屋内外で各種イベントが開かれるようになりました。参加人数に関係なく、1回限りでも不定期でも、小規模でもOK、参加者の中から自発的にリーダーが出て色々なイベントを起こし、繰り広げていくようになりました。月1の「こすぎの大学」がサブイベントと思っている人もいるくらいの勢いです(笑)。

たとえば、第一号の部活動は、前出の福地さんの「ポタリング部」、メンバーの自宅を開放して毎月開催する「おしゃべり部」、その他、餃子を作って皆で楽しむ「餃子部」など、これまでに10以上の部活動が立ち上がっています。人気なのは「ハイサワー部」です。数ヶ月に1回の割合ですが、これは毎回30人中、多世代が集まってハイサワーを飲みながら豊富な話題で盛り上がっています。

ごく最近の部活は、「駅前スタンド部」です。9月27日、武蔵小杉駅前のコアパークに、日頃のストレス解消に役立つための色々なブースを出した「ストレス解消!駅前スタンド」というイベントに、こすぎの大学は「ストレスの種をステキな花に変える魔法の木」を出店し、街行く人との交流を楽しみました。
部活動を通じての気づきを福地さんが「集客しようと思うから疲れる。自分のやりたいことに共感してくれる誰かが1人でもいれば、合計2名でイベントは成立する」と語ってくださったのですが、「集めるのでなく、集まりたくなる場をつくる」という考えに僕も同感しています。

活動を通して学んだことは

グラフィックレコーディング中の岡本克彦さん

6年間の活動を通して、困ったことは一度も無かったです。というか、忘れるくらい些細なことだったのか、仲間とすぐに解決してしまったのか、もはや、さだかではありませんが(笑)。嬉しかったことは、やはり自分の住むこの武蔵小杉の街に知り合いや友だちが増えたということです。家族と街を歩いていて、色々な方々から挨拶などされると、「あっ、パパの活動のお友だちなんだな」と私の行動が家族にも見えるようで、自然と応援してくれます。というのも、親戚も知人もいないこの武蔵小杉に越してきたのが2002年で、10年以上は自宅と会社の往復だけの毎日でしたから。それを思うと今が嘘のようです。

自分がこの活動を通して変わったかなと思うのは、皆とすごす町だからゴミの捨て方や街の歩き方などを含めて街を丁寧にすごすようになり、そして、自分の街への誇りが生まれたことです。

こすぎの大学を通じて心がけていることは「無理をしない」ということです。人と会って話しをすることは好きだし、大学では管理工学を学びましたから、人の流れなどのパターンを見極めるのも活動に役立っていたかもしれません。でも、ときどき誰とも会わずに1人でクールダウンしたくなるときもあります。そんなときは、一人酒というか、立ち飲みが私の場合には効果がありますね。サラッと飲んでサラッと帰る『1000ベロ』パターンです。もはや、趣味といっても過言ではありません(笑)。結局、自由な発想ができるからでしょうか、こだわりの無いことが一番自分に合っていますね。

最後にメッセージを

駅前スタンド部の活動後メンバー

これから活動を始めることで何か迷っている方がいたら、とりあえず自分で楽しいと思うことから始めてください。肩の力を抜いて無理をしないことからスタートです。そして、一人で抱え込まずに一緒にやる人を見つけましょう。私もこの6年、6人の仲間というチームに助けられてここまできました。体調が悪い、仕事で参加できないなどの場合は、仲間がフォローしてくれます。

こすぎの大学の事務局はFace to faceでミーティングせず、Facebookのメッセンジャーなどオンラインでコミュニケーションしています。集客に関しても前述したように「集めるのでなく、集まりたくなる場をつくる」というスタンスで、チラシは作らず、ホームページやFacebookなどのオンラインでの案内だけです。自分たちのできる範囲で、自分たちが楽しみながら活動することで「こすぎの大学」は6年間も活動を続けることができました。色々なコミュニティに参加するのも楽しいですが、企画運営する主催者もオススメです。皆様も時には主催者になってみませんか?

少しでも興味のある方はぜひとも、「こすぎの大学」に足をお運びください。毎月第2金曜に開催しています。お子さん連れもOKです。一緒に武蔵小杉を楽しみましょう。

お問い合わせ

〈問い合わせ〉
「こすぎの大学」ホームページ https://www.kosuginouniv.com/


2019年9月27日取材 レポーター 町田香子

次回のエースは佐藤 由紀さんです。

佐藤 由紀さんへ一言

岡本克彦さん

ハイパー顔ハメクリエイターの佐藤由紀(deco)さん。パートナー新之介さんや朱莉ちゃん、佐藤さんファミリー全員のファンな僕です。“自分らしく、自分たちらしく”というライフスタイルの大切さを気づかせてくれる大切な存在です。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

バトンを受け継いで 岡本克彦 さんへ一言

佐藤由紀さん

夫が「こすぎの大学」で岡本(オカポン)さんと繋がり、それ以来のご縁です。知り合いのいなかったこの街で、私たち夫婦とも生きやすくなりました。オカポンさんには感謝しかありません!

(C) 2022 公益財団法人かわさき市民活動センター 
市民活動推進事業