文字サイズ 背景色

ホームU-50>第55回 石井雅俊さん

U50  第55回 石井雅俊さん

若手応援コラムU-50(アンダー50)では、対談スタイルで
センターが注目する若手の市民活動家にインタビューをしていきます。
活動をはじめたきっかけや思い、現在夢中になっていることなどをお聞きして、
誰もが自分なりの活動をはじめたり、参加することができる、というエールになればと思います。

石井雅俊さんプロフィール

ふるさとファーマーズ
代表
茅ヶ崎在住

ふるさとファーマーズは、自然や環境を大切にする「やさしい農法」を通じて食料や資源の大切さを皆で一緒に考え、守っていく活動をしています。
困難も多い「やさしい農法」を行う理由や成し遂げたい石井さんの思いを伺いました。

新型コロナウイルス蔓延をきっかけに感じた「心の変化」

かわさき市民活動センター職員 勝野(以下勝野):
ふるさとファーマーズさんは当センターのお馴染みの団体さんですが、活動を始められた、きっかけは聞いたことなかったですね。

石井さん:
実は前職は大手不動産会社の営業で、死に物狂いで働きながら何千万円を稼ぐという生活をしていました。そんな中、新型コロナウイルスが蔓延し、輸入食品のパスタが一時期買えなくなりましたよね。食品業界や飲食業界で仕事をしていた経験もあり、食料自給率や輸入食品についての知識はありましたが、「自分が関与して変わる事でもない」と考えていました。でも実際に、当たり前のように食べていたものが食べられないという事実に直面し、「現実」と「自分自身」と初めて向き合うことが出来たんです。世の中のために僕は、何がしたくて、何に幸せを感じて、どうなりたいのかを考えた結果、自分たちの食の未来についてしっかり話し合っていける場を作りたいと思いました。

僕が考える「やさしい農法」を通して実現したいこと

勝野:
そこから自分にベクトルを向けて反省して・・・ってなかなかできないですよね。そこからすぐに行動したんですか?

石井さん:
はい。本気で取り組むため、まずは仲間を集めようと知り合いや友人に連絡し、結果的に10名の仲間が集まってくれました。

勝野:
すごいですね!そこからすぐに、やりたいことをスタートできたんですか?

石井さん:
いえ、最初は、、、というか今もですが(笑)試行錯誤の連続でした。食について考える場は、食のスタート地である「畑」がいいと考えていたので、どうすれば畑を使わせてもらえるか調べて、市民農園をお借りすることが出来ました。ただ市民農園には市民農園の従来のルールがあり、僕が思う「やさしい農法」を行うのは難しいなと。

勝野:
石井さんが考える「やさしい農法」と、現実は乖離しているのでしょうか?

石井さん:
大前提として、農薬や化学肥料を使用する農業、いわゆる慣行栽培が悪いとは全く考えていません。戦後、多くの日本人を助けてくれた慣行栽培には感謝しています。ですが、現代ではフードロスが問題になっている一方、土を耕しすぎたりしたことが一因で、土地が痩せ自然を壊し生態系が崩れてきています。食の問題は、自然や環境と密接に繋がっていて、すべての人の問題です。

勝野:
そういうことを話しながら、「やさしい農法」にチャレンジしていくことができる畑の確保が難しかったんですね。

石井さん:
でも、諦めず探していたら、茅ケ崎にある里山公園に隣接している畑をお借りすることができました。

自然を大切にする農法を選択できる「新たな転機」

石井さん:
一番大きかったのは、茅ヶ崎で営農されている「八一農園」に出会ったことです。「八一農園」は、不耕起栽培といって、畑を耕さず、農薬や堆肥を使用しない農法を行っています。将来も種をまけば野菜が育つ肥沃な土壌を残していける農法を選択する姿を、とても尊敬しています。今では毎週一回畑で研修をしてくださったり、イベントを一緒に企画させていただいたりと、とても感謝しています。

勝野:
里山公園に隣接している畑は、素敵なところですよね。そこでのご活動はスムーズなような気がしていましたが・・・?

石井さん:
実際は、めちゃくちゃ大変でした(笑)。不耕起栽培は、手間も時間もかかります。初めての農作業は、うまくいかないことの連続でした。一人また一人と仲間は減っていってしまい、メンバーは最終的に僕含め2名になってしまいました。

勝野:
それは心折れますね・・・。どうやって乗り越えたんですか?

石井さん:
やるしかないと思いました。僕の中で、やめるという選択肢はなかったですね。仮に僕が諦めてしまって、今後同じようにチャレンジしたいという人が現れた時「どうせまたすぐ諦めるんでしょ?」と思われてしまう前例を作りたくなかった。だから僕は最後の一人になっても、やり続けると宣言していました。

共感が共感を呼ぶ。市民活動は「希望」

石井さん:
前より熱を持って活動を続けていたら、共感してくれる人が少しずつ増え、今では20名のメンバーがいます。

勝野:
20名もいるんですか!すごいですね。

石井さん:
本当にありがたくて嬉しいです。市民活動は、想いが一番大事なことのひとつだなと実感しました。共感が共感を呼んで、自分たちの未来を守っていける市民活動って希望ですよね。

子どもたちに伝えられる。ということの価値

石井さん:
かわさき市民活動センターさんの助成金を活用したり、イベントに参加したりしたことで活動の幅が広がりました。畑に来て下さる方もだんだん増え、合わせると1年で120名ほど。また、登戸の小学校や茅ケ崎の高校で講演をやらせてもらったことをきっかけに畑に来てくれる子ども達もたくさんいます。

勝野:
普段は知り合えない、色々な人と関われること自体素敵なことですもんね。

石井さん:
はい。自分が出来ることはそれぞれ違うし、苦手なことも違う。助け合っていけばいい、シンプルなことを伝えらえる可能性が広がります。「理想論だ」と何回も言われました。でも、僕は理想をどう現実に落とし込んでいくかが大切だと思います。理想のない未来を子ども達が楽しんでくれると思えない。誰もがわくわくできる未来を皆で創っていきたいです。

勝野:
自分の言葉としてよどみなくお話しされている姿が、たくさん考えてたくさんアウトプットしてきたからこそだと感じました。今後の目標は?

石井さん:
最終的な目標は、ふるさとファーマーズ解散です。解散できるということは、食糧問題や環境問題が解決したということですから。ふるさとファーマーズの活動は、僕が何千万円稼ぐよりも、これからの未来のために重要なことを成し遂げられると感じています。僕が死んだ後も「あいつがいてよかった」と言ってもらえるような、お金では到底買うことのできない、とても価値があることを未来に残していけたらと思います。

お問い合わせ

次回のエースは調整中です。

(C) 2022 公益財団法人かわさき市民活動センター 
市民活動推進事業