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【2025年2月13日掲載】ふるさとの記憶紡ぐ 田村弘志さん
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かつて手作業での砂利採掘や紙すきも盛んだった。多摩川の恩恵を受けて発展した中野島地区(川崎市多摩区)。その変遷や年中行事などを同地区社会福祉協議会会長の田村弘志さん(88)が一冊にまとめ、昨年7月に自費出版した。
タイトルは「中野島のこんなこと知っていますか」。「住んで良かったと愛着を持ってもらいたい」という田村さんの思いがちりばめられている。
地区社協の広報誌「なかのしま」に2006年から郷土史コラムを寄稿してきた。子どもの頃の暮らしや自らが見聞きしてきたことを伝えたいと、18年分をまとめた。
多摩川から取水した二ヶ領用水の恵みで良質な米が育ったことや、家族総出で子どもたちも手伝った養蚕ー。自身の思い出も織り交ぜ、幅広い内容を盛り込んだ。見開きの右ページに写真やイラスト、左ページにコラムをレイアウトし、情景が浮かび上がるように工夫。市内の小中学校や図書館に寄贈した。
田村さんは生まれも育ちも中野島。商店会や老人会、PTAなどで地域活動に力を注いできた。「子どもや孫にとってふるさとである中野島。縁あってこの地に住む皆さんにも、まちの歩みを知ってもらうことで、昔のように交わりを深くし、この地を愛してほしい」と、郷土への思いを次代に託している。(2025年2月13日神奈川新聞掲載 市民記者・鹿野 薫)