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障がい福祉事業所レジネス~「固有の価値」と活用~
障がい者を、固有の価値を持った人として、社会に活(い)かしたい。そんな想いによって、2012年、川崎市指定障がい福祉事業所レジネスが中原区木月に誕生した。利用登録者は20人。現在全員が心に病を抱えている。
「とにかくミーティング」「みんなでつくる職場」を目標に掲げる。作業の前に必ずミーティングをし、お互いに体調や気持ちを話す。自分や病を知ることが大事と考えている。そこで毎月、外部の人も参加できる「当事者研究」を併設のカフェピアで行うことにした(=写真)。
苦労の意味や状況を反映した「病名」を自分で付けることから始める。医学的な病名ではない。11月の会では「人が気になる」がテーマに出された。人の表情に過剰反応し、テレビの中の人物や電話の声にさえ苦痛を感じるというパターンを可視化し、自分を客観的にみる。専門家や仲間でなく、解決の主体は自分自身にある。「携帯電話のアンテナのように受信力が強すぎるのではないか」と仲間がサポート。「自分の話をこんなにしたのは初めてだ。アンテナの受信力を減らすように研究していきたい」とテーマ出題者の笑顔がはじける。
「事業所運営と当事者サポートという相反する仕事で苦労はするが、皆さんから元気をもらっている」と斉藤剛所長(36)は語る。
(2015年12月12日 神奈川新聞掲載 市民記者・高橋喜宣)