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川崎の在日高齢者と結ぶ二千人ネットワーク~差別のない社会向け
「川崎南部には、100年の近・現代の地域社会を下支えしてきた働く人々の生活史がある。戦後復興期に朝鮮部落の中で、貧乏と差別の中で生き抜くおばちゃんたちの生活力が開花し、日本人庶民との小さな交流が生まれた」と、そのわずかに残る足跡をたどるフィールドワークが2月に行われた(=写真)。
企画したのは「川崎の在日高齢者と結ぶ二千人ネットワーク」。川崎南部在日コリアンの生活史を「市民の宝」と捉え、「差別の醜さ、戦争の悲惨さ」を学び記録し、交流することを目的に2002年に発足した。
活動のきっかけは川崎市ふれあい館での識字教室。学校に行く機会もなく、鉛筆さえ持ったことがない在日高齢者が「なぜこんなに字が書けないのか」と生活史を語ったことに始まる。
1世には朝鮮半島の農村で、みそもしょうゆも酒も自分たちで造ってきた文化のノウハウがある。朝鮮風に味付けした内臓肉を食する焼肉文化をつくるなど字を知らなくとも懸命に生き抜いてきた。「この人たちこそ地域の活動の中心にいなければならない。3、4世の子どもたちにひいおばあちゃんの足跡を知ってほしい。この生活史に誰もが自分らしく生き、差別も戦争もない地域社会を作る手がかりがある」と三浦知人事務局長は語る。
(2016年5月7日 神奈川新聞掲載 市民記者・高橋喜宣)