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拡大写本ルーペの会~待っている人がいる

拡大写本作業の様子
「ルーペの会」(横山サチ子代表)は川崎市北部身体障害者福祉会館(高津区)を拠点に弱視者や高齢者のための拡大写本を作り続けて28年になる。
1997年から始めた教科書の拡大写本は多くの児童、生徒を支えてきた。近年は出版社も拡大教科書を発行しているが、ルーペの会は出版社のものより大きな縦横10ミリ以上の文字で拡大写本を作る。今、小学5年生と中学1年生が新学期から使う教科書に取り組んでいる。
「ルーペの字」と呼ぶ書体で1冊を4~5人の分業で進める。小さくて読めない文字のみを拡大し大きな文字はそのままだ。ページごとの配置も変化するので1ページが何ページにも、1冊が何分冊にもなる。会員は文字書きを自宅で行い毎週金曜日に持ち寄る。原本と突き合わせること3回、丹念に確認して製本する。4か月の作業だ。
活動を続けるのは、「人の役に立つことで心の元気と勇気がもらえる」から。また、「ボランティアは辞めることができるが、障がいは一生背負っていかなければならない」ことを真摯に受け止め、会員たちは「コツコツコツ」と無心にペンを運び一冊、一冊の拡大写本を仕上げていく。横山さんは「完成した時は達成感でいっぱいです。必要として待っている人にお届けできるのですから」と話す。
(2013年2月2日 神奈川新聞掲載 市民記者・小島博記)

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