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芭蕉の碑保存会~歴史を守り次世代へ

芭蕉の句碑周辺の掃除や草花の手入れをする会員の様子
東海道川崎宿の京都側出入り口、京口から続く道の名前が八丁畷という駅名に残る。川崎区日進町町内会住民らによる「芭蕉の碑保存会」は、この街道沿いに江戸時代に建立された松尾芭蕉句碑の維持管理を続けている。
1964年に町内の美化活動中、横倒しになった石造物が草むらから発見された。専門家により「麦の穂を/たよりにつかむ/別れかな」と、この地で詠んだ芭蕉の句碑と判明。発見した婦人会会長の石川とし子さんらによって保存活動が始まった。
84年4月に「芭蕉の碑保存会」として正式に発足。現在会員は20人余り、毎月12日に町内会館「麦の郷」で定例会を行う。10日、20日、30日には句碑の点検や周辺の掃除、花木の植え替え、草取りなどの作業にいそしむ。
四季折々の花々が、句碑を訪れる人や道行く人を和ませる。大きなごみが捨てられた隣接する土地も無償で借りて花壇に変えた。毎年11月1日に種をまく麦の栽培は、広く麦畑が続いていた時代の句碑にふさわしい風情を添えている。
親から子へ、先輩から後輩へ、姑(しゅうとめ)から嫁へと町内会住民らが縦横につながりながら、地域の文化財と歴史を守り次世代へ伝えていく。現会長の石川玲子さんは「長年続く活動の源は、句碑をはじめすべてに対しての愛の気持ちです」と語った。
(2013年11月16日 神奈川新聞掲載 市民記者・菅原登志子)

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