文字サイズ 背景色

ホーム最新ニュース一覧 > 市民発 >大師古民謡保存会~残したい「地域の宝」

大師古民謡保存会~残したい「地域の宝」

地元に伝わる民謡を歌い伝える様子
「めでたい~こちらの~お酒盛り松竹を~かざりしめて~おしゃく~十よ七~ぁよかったよかったぁ」
かつて、多摩川を挟んだ羽田の漁師村と田畑が広がる大師村の人と産物が小船で行き来した時代に、同じような調子(リズム)で相手をたたえ合う歌があった。
この歌は婚礼や建前、船おろし(新造船)など、人生の喜びの時に人々が一緒に祝う「心の絆」だったという。
「かわさきで~はやる~大師さま~」「はねだで~はやる~お穴さま~」。大師さまとは川崎大師、お穴さまとは穴守稲荷であるという。
「大師古民謡保存会」は、戦後の一時期消えたといわれていた民謡「大師めでたや」を歌い継いでいこうと、1955年に発足した。
現在の田辺裕之会長は、まずは次代の子どもたちに伝えたいと、川中島小学校の総合学習授業にゲストティーチャ―として参加している。また、大師小学校140周年記念事業では創立を祝う歌詩を作り、「大師めでたや」の調子で子どもたちが歌った。
大師地域はいまでも歴史と伝統が生き続ける街ではあるが、都市化とともに消えていった文化や習わしも多い。
「私が幼いころ、この辺りにはまだ田んぼが広がっていました。地元に伝わる唯一の民謡を地域の宝として残していきたい」。田辺会長は願いを歌に重ねる。
(2014年7月26日 神奈川新聞掲載 市民記者・佐川麻理子)

(C) 2022 公益財団法人かわさき市民活動センター 
市民活動推進事業