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川崎・多摩丘陵の里山を守る会~未来に引継ぐ自然
JR武蔵溝ノ口駅南口の小高い山は、街の喧騒とヒートアイランド現象を緩和する、心安らぐ空間だ。しかし、開発の波がこの街にも押し寄せてきた。2000年、地元の人たちがこの自然を守り、子ども達に引き継ごうと、「川崎・多摩丘陵の里山を守る会」を結成。「建設反対を旗印にするのではなく、自然と共生するまちにしたい」と、代表の伊中悦子さんは言う。
会は「ターザンの木」と呼ばれるスダジイの大木=写真=を守った。「まちの樹50選」の候補となったが、所有する建設会社の同意が得られず見送られた。この木の下でコンサートを開き、市に保全の請願を出すなど、市民と市の協力を得て交渉を重ねた結果、建設会社は伐採せず提供公園にした。名の由来でもある横枝は切られたが、昨年「久本山ターザンの木緑地」となった。
また、会は地元の町内会の賛同を得て管理運営協議会を立ち上げ、末長熊野森緑地の再生活動もしている。樹木の多くは伐採されたが、株から芽ばえた新芽を育てて10年、雑木林となった。
来年3月に高津市民館で開催する「高津の緑地活動紹介写真展」に向け、8月に学習会、9月には現地見学と撮影会を行い、準備を進めている。「経済効率ばかりでなく、緑をはじめもっと大事なことを守っていきたい」と代表は訴える。
(2011年10月22日 神奈川新聞掲載 市民記者・高橋喜宣)