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歌人 杉野浩美さん~ハンセン病 短歌で理解

著書を手にする杉野さんの写真
多摩区登戸の喫茶店で、月2回短歌勉強会を開催する杉野浩美さんが、短歌に出会ったのは二十数年前。その後、夫を病気で亡くし、息子の「これからは、自分の好きなことをしてゆけよ」という言葉で、以前から学びたかった文学をかわさき市民アカデミーで受講、現在も続けている。
短歌の道は、新聞歌壇への投稿から始まり、やがて全国大会で受賞。短歌文芸誌の創刊同人となり、1991年第一歌集「ブルーブラック」を出版した。
2001年、人権回復を訴え、ハンセン病元患者らが起こした国家賠償請求の裁判で、この病気のことを知った。元患者らの生活や差別の歴史を学ぼうと、多磨全生園の資料館に通い始めた。鹿児島の星塚敬愛園と熊本の菊池恵楓園にも通い、園内の歌人たちと交流しながら取材。
一般社会から隔離され、肩を寄せ合って暮らしている入所者たちの辛苦に満ちた生活と、その中で詠まれた短歌をテーマに、所属文芸誌に連載した。その6年間の文章をまとめ、「いのちつきるまで―ハンセン病と短歌―」を2010年に出版した。
2011年、国立13・私立2カ所の療養所で2275名の方が暮らし、また、社会復帰されている方も多い。「この本をお読みになり、さらに理解を深めていただきたい」と杉野さんは語る。
(2012年2月4日 神奈川新聞掲載 市民記者・林 德)

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