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三月文庫~地域の小さな図書室

子どもに借りていた絵本の感想を聞く伊藤さんの様子
「三月文庫」は、絵本に出てくるような黒い煙突のある黄緑色の家にある。伊藤千代子さんが毎週水曜日に自宅の一室を開放して子どものための図書室を開設して30年余り。今ではえりすぐりの絵本や児童文学約1700冊が本棚にぎっしりと並ぶ。
「こんにちは~」と親子でやって来て、本の入ったカバンを持った子どもだけが入室する。「どうでしたか?」と本の感想を聞きながら、伊藤さんは感想を表す○△×の記号で貸し出しカードを埋めていく。記録をすることで、その子の好きな本が把握でき、本選びに迷っているときなどにはさりげなくアドバイスをする。
絵本の読み聞かせの途中で、「まももが…」「まもも?」と子どものつぶやきに問いかける伊藤さん。「魔もの」が「まもも」になってしまったようで、伊藤さんは、子どもが「怖いところは読まないでほしい」と伝えたいのだとわかるまで会話を続けた。こうして、宮前区神木本町にある小さな図書室で、2歳半から中学生までの子どもとじっくり向き合う。
本を借りるという意味がわからなかった幼児が、親の力を借りずに自分で読みたい本を選んで借りて返せるようになり、読書の楽しさを身つけて成長していく心の姿を、伊藤さんの目が見守り続けている。
(2012年8月25日 神奈川新聞掲載 市民記者・菅原登志子)

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