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アトリエ21~そろばんの良さ伝えて
夕方、小学生がそろばんを持って次々とやって来る。今そろばんが、ひそかな人気だ。
元気な高齢者たちが支え合いながら暮らす中原区宮内にあるCOCO宮内。入居者の生活をサポートしている特定非営利活動法人(NPO法人)グループリビング川崎が、地域の人たちのオアシスを目指し、趣味の教室「アトリエ21」を開いている。
その一つ「そろばん教室」=写真=は、すぐに定員の10人になりクラスを増やした。先生は、地元で長年そろばん塾をしていた菅野栄子さん(63)だ。そろばんを始めた3年生は「頭の中で考えて、パチパチやるのがおもしろい」と、親指と人さし指を使って玉をゆっくりと動かす。計算ドリルに答えを書くと菅野さんは「よくできたね」とたくさん丸をつけてあげる。
電卓が普及するようになり、菅野さんは塾を閉じた。そろばんから遠ざかっていたある日、「そろばんは日本の伝統文化だ」という話を聞いた。好きなそろばんが、また役に立つかもしれないと心が動いた。生徒一人でも教えるつもりでいたのが、口コミで広まった。
再び、そろばんと触れ合える場所ができ、何より教室に「せんせい」と明るい声で来てくれる子どもたちがかわいいと、穏やかに話していた。
(2007年2月3日 神奈川新聞掲載 市民記者・高木春子)