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地域通貨の阿部芳裕さん~助け合うメンバー間循環
「地域通貨の活動を始めた理由は、『自分自身の生きづらさ』だったんです」。多摩区登戸に地域通貨「アーチ」を誕生させた安部芳裕さん(41)=写真=はそう語る。
地域通貨とは、限られた場所で通用するお金のことで、例えば登録メンバー同士でベビーシッターや、本人の代わりに重たい荷物を持つなど助け合いながら「アーチ」がメンバー間を循環していく新しい取引のことだ。
安部さんには現代社会で生きることに悩んでいる時期があった。今の世の中、お金がなければ生活が成り立たたず、企業は利益の拡大を追求していかなければならない。環境問題や戦争も「お金」に原因があるのではないか。そのお金の問題点と、それを補完する地域通貨についてまとめ、2001年4月に「だれでもわかる地域通貨入門」を出版した。障害者や社会的に立場の弱い人が地域で暮らし続ける方法として、地域通貨で必要な物や行為を取引できるようになることが夢であり目標である。
「地域通貨について詳しく知りたいときには、どうぞ、声を掛けてください」。熱い心を常に穏やかな表情と物腰で包んでいる安部さんは、笑顔でそう語った。
(2005年4月16日 神奈川新聞掲載 ボランティア記者 ・ 秋貞 早苗)