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かわさき・ひまわり~親子の深い情愛考える

朗読劇の様子
いすだけの簡素な舞台にギター演奏が静かに流れる。台本を手に小学生5人と大人3人の“俳優たち”が忠実に手記を読んでいく。
「兄さんも焼かれた。お母さんも、見る見るうちに骨になって、僕は泣きながら、じっとそれを見ていた」
被爆者の手記や詩、作文などで構成された「この子たちの夏」(地人会・台本)の朗読劇だ。この戦争の悲劇を語り継ごうと結成した「かわさき・ひまわり」が、南菅・菅こども文化センターの子どもたちと自主上演した=写真。
台本を淡々と読み進むにつれ、子どもの声が強まる。浮かび上がる情景に大人たちの怒りや悲しみが増大する。会場では30人の親子が身を硬くして聞き入る。目に涙をためながら途中で場を離れる高齢者の姿もある。
本来は女性だけの朗読劇だが、子どもに命の重みを感じてほしい一心で男子も加えた。「兄弟を亡くしたおじいちゃんの気持ちが分かるかも」と参加した吉田理紗さん(12)は次回の公演にやる気をみせる。「61年前のあの日には、親が子を思い、子が親を思う、親の強さや情愛の深さがあった。この劇は、それを考える時間でもあるんです」。長村秀一代表(72)は静かに語った。
(2006年8月12日 神奈川新聞掲載 市民記者・三木規伊)

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