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拡大写本「グループWA」~その子だけの教科書
拡大写本=写真=とは弱視の人向けの、文字を大きくした本のこと。文字が欠けてみえたり、二重に見えたり、「眼鏡などを使っても文字など細かいものが見えづらい」のが弱視だ。拡大写本「グループWA(わ)」では主に小中学生の教科書(国語、算数、英語)の拡大写本を作る。漢字や文章の基本を学ぶ時期に、きちんとした文字を覚えれば成長して多少欠けて見えても見当をつけて読めるようになり、勉強への興味もわくからだ。
「行間や字間も人によって読みやすい幅が違うので、最初にその子にあわせた専用のマス目の下敷きを作り、それに沿って教科書を書き写します」(代表・斉藤秀子さん)。文字は教科書体を使うが、線の太さや色の濃淡にも気を配る。最近の教科書はカラフルだが、パステルカラーや黄色は見えない子も多く色を変えて書く。そうして出来上がった教科書はその子だけの1点モノだ。
活動歴10年の「グループWA」には全国から写本の依頼が入る。しかし、現在の30人ほどの会員ではすべてに対応できないことがジレンマだ。それでも2年前に国から経費が出るようになった。「これで文具代や送料を気にせず作成できます」とメンバーは喜ぶ。
(2006年9月23日 神奈川新聞掲載 市民記者・船矢佳子)