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NPO社会教育支援センター~相談者の生きる希望に

無料相談の様子
夫を亡くした女性が小さな子を連れて相続の相談に来た。思い詰めた様子の声に、髙木洋一理事長(63)はじっくりと耳を傾けた。「一つ一つ解決していきましょう」。今後の生活設計に道筋をつけていくうち、話は人生相談にまで及んだ。女性は涙を流していた。
武蔵小杉駅近くの髙木会計事務所。その一室の「NPO社会教育支援センター」で無料相談が行われている=写真。相続の手続きや遺言書の作成、保険の見直しなどを税理士や司法書士など7業種の専門家が答える。
5年前から、中高齢者の力にと無料でパソコンや税務・保険などの知識を提供してきた。ある日、パソコン受講者から税の相談を受け、無料相談を始めた。すると、相談先が分からず、ストレスや経済的不利益を被る人が多くいることに気付いた。何とかしたい、とチラシをセンターの利用者や公の施設に配り、身近な存在を売り込んだ。「税理士は敷居が高いというイメージがぬぐいきれない。でも違う。私たちの経験や知識が相談者の生きる希望になれるのなら、惜しみなく使ってほしい」
その知恵を今、一人暮らしの孤独死をなくすため生前契約に力を注ぐ。生きているうちに自分の財産を整理したいという高齢者の相談に、「本人が安心して残りの人生を送る支えになれるのなら」と髙木さんは今日も事務所のいすに向かう。
(2006年10月14日 神奈川新聞掲載 市民記者・三木規伊)

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