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いぬくら子ども文庫 世代つなぐ成長の場
「なべさ~ん、こんにちは」。
毎週水曜日午後、「いぬくら子ども文庫」(川崎市宮前区)に子どもたちがやってくる。「いらっしゃい」と迎えるのは同文庫主宰のなべさんこと渡部康夫さん(70)=写真左=だ。
市内小学校で約40年にわたり教壇に立ち、2011年の定年退職を機に、自宅を開放し私設文庫を開いた。現役時代は、司書教諭(学校図書館運営)も務めていた。全国学校図書館協議会や、中学校区にある子どもの豊かな成長を支援する「犬蔵中学校区地域教育会議」には今も関わる。
玄関を開けると、児童書、絵本、文庫、漫画などが廊下、居間まで迷路のように並ぶ。献本を含め約1万2千冊。子どもたちは、ちゃぶ台で友達と本を読み合ったり、「なべさん、この本読んで」とお願いしたりと、思い思いに過ごす。登録カードに記入すれば一人何冊でも借りられる。登録者は幼児から約300人。
2ケ月に1回「おはなし会」も開く。玄関前で飼っているカメが主役の自作紙芝居「かめくんシリーズ」を毎回披露。作品は70を超える。会員制交流サイト(SNS)で同文庫を知った絵本セラピーを学ぶ20代の女性スタッフが絵本の読みきかせをし、6人で運営を担う。
「開設10年。文化施設が少ない犬蔵で、次世代に繋げるようあと10年がんばる」と渡部さんは話す。問い合わせは☎044(976)5099
(2021年9月2日 神奈川新聞掲載 市民記者・清水まゆみ)