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登戸研究所保存の会~戦争遺跡を「財産」に

手製の資料を手に、参加者に説明をしながら戦争史跡を案内する男性の写真
「明治大学平和教育登戸研究所資料館」(川崎市多摩区)は戦争遺跡だ。戦時中、旧陸軍により、多摩丘陵に広がる約36万平方メートルの敷地に風船爆弾や細菌兵器、偽札などを製造する研究所(登戸実験場)がつくられた。最盛時に千人いたといわれる人員の中には、地元民も多く働いていた。

この遺跡群を後世に残したいと活動を続けているのが、森田忠正さん(73)(=写真中央)が代表を務める「登戸研究所保存の会」だ。発足は2006年。取り壊されようとしていた木造建物の保存を求めて川崎市や大学に働き掛けた。以来、敷地内に散在する戦争遺跡の見学会を毎月行い、これまで案内した見学者は6607人に上る。

資料館には同団体が収集した資料も並ぶ。高齢化で当時を語れる人もいなくなりつつある中、当事者の証言や関係資料を地道に集めてきた成果だ。「どんなことがあっても戦争はしてはならない」と次世代へのメッセージを込め、平和教育にも力を入れる。小中学生向け絵本「ひみつにされた登戸研究所ってどんなとこ?」を発行。「加害者だったんだ」の声も聞かれ、「平和の大切さが子どもたちにも伝わりはじめた」と森田さんは手応えを感じている。

今年「旧陸軍登戸研究所の遺構群」を「川崎市地域文化財」に推薦。戦争遺跡の永続的な保存を目指す。連絡先は森田さん電話 090(2221)4852

(2018年8月4日 神奈川新聞掲載 市民記者・山村由美子)

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