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齊藤 準さん~視覚障がい者と歩む
半世紀にわたり視覚障がい者を力づけ、社会参加のための情報提供活動を続けている。
齊藤準(しとし)さん(70)は高校生のときに日本赤十字社の活動を学び、卒業後も同社の青年奉仕団に参加した。そこで視覚障がい者向けのテープライブラリーが外国にあると聞いた。市内の視覚障がい者20人に読書や文字情報について尋ねると、極端に少なく家にこもる実態が分かった。
盲人用図書館は外出の機会にもなると、市に開設を働き掛けた。点字を触読できない多くの人には音で情報提供する活動も開始。テープレコーダーは高価だったが県の理解と支援で各地に増設されていった。
「どんな本がいいですか」と尋ねると、「どんな本があるか分からない」と返された。ここから1964年、身近な生活情報や本の紹介を録音図書として提供する「水車の会」をつくった。いま、録音活動グループは市内に四つある。点字投票の協力や選挙公報を音声化する活動もある。そうした支援活動の連絡網が「オブリガード」。それぞれの持ち味を生かして協働している。
齊藤さんは「事実を調べて、そこから気付いた人が声を上げることが大事です」という。オブリガード20周年に「オブリガードとの確かな信頼のきずなは、私たちに社会とのつながりを感じさせてくれる」と利用者が寄せた。
(2015年1月10日 神奈川新聞掲載 市民記者・小島博記)