U50 第21回 大坂 亮志さん
アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。
大坂 亮志 さんプロフィール
こすぎの大学代表
協同組合武蔵小杉商店街理事
中原区在住
仕事も住まいも武蔵小杉
父の代から約50年、武蔵小杉駅前で眼鏡店を経営しています。仕事でもボランティア活動として、タイに毎年300枚の老眼鏡を届けに行っており、20年になります。最近はタイの経済状況も変わり、いつまでニーズがあるかわかりませんが、この支援は自分のライフワークとして大切にしています。
「無理しない」をモットーに
市民活動としては、現在代表を務めている「こすぎの大学」をメインに、そこから派生した地元商店街を巻き込んでの活動歴は、今年で6年になります。
この活動は大人から子どもまで、武蔵小杉の在住、在勤、地元が好きな人が集まる、自由で広く楽しく学んで遊べる「学び舎」です。具体的には、毎月第2金曜日、主に中原区役所で、あらゆるジャンルからその時々にあったテーマで先生役から話を伺い、参加者同士でワークショップをしながら交流していく活動です。
運営メンバーは5人。皆、忙しいですから全員が集合できる日は無くてもフェイスブックのメッセンジャーで連絡しあっています。私たちのモットーは「無理をしない」です。主な私の役目は、講演終了後の懇親会の段取りです。地元の居酒屋は、いつも商店街にお世話になっているので、武蔵小杉を訪れた人たちへの宣伝や中小個人店舗への経済効果を兼ねて、終了後に皆で飲みに行きます。講演の参加者が3、40人だとすると、2次会は25人くらいの方に参加してもらえます。馴染みの味のある地域の居酒屋さんを貸し切りにして楽しんでもらっています。講演も集客が目的ではないし、団体をNPO法人など大きくする気もありませんから。この気安さが長続きのコツだと思っています。
「こすぎの大学」に参加したきっかけは
NPO法人小杉駅周辺エリアマネージメント主催の「こすぎナイトキャンパス読書会」ですね。本を通じての交流が楽しくて、もう10回以上参加しました。そして「U-50」の19回目に登場したオカポンさんこと岡本克彦さんや、「こすぎの大学」の現在の運営メンバーと知り合うことができました。読書会に参加してみて、「こすぎの大学」の隠れた目的でもある、家庭でも会社でもない居場所「サードプレイス」について深く考えるようになりました。また、ここで出会う違う分野の人との交流はとても新鮮でした。改めて、街との関わり方を見直し、人と話すことで今まで気がつかなかったことの発見もありました。
2018年の10月には、「こすぎの大学」で自ら講演もしました。眼鏡屋ですから、「眼鏡をツールに自分なりのライフスタイルを考えてみよう」という内容です。女性は、眼鏡よりコンタクトレンズのほうがスマートだと言う方もいますが、顔の印象が変わる眼鏡を大切にしてほしいと思っています。
商店街、地域とのコラボ活動
商店街を巻き込んでの活動ではコアパークの清掃活動や、餅つき大会と同時開催のハンドメイドの品を売る「小杉てづくり市」などです。
清掃活動は、商店街の若手の仲間たちと「KDU(Kosugi Design Unit)」という団体名で川崎フロンターレとコラボのユニフォーム(写真参照)を作り、駅前通り商店街とコアパークを月に数回掃除しています。歩道の植え込みに、空き缶や空き瓶を平気で捨てて行く人もいますから困ったものです。
「小杉てづくり市」は、前回の「U-50」登場の佐藤由紀さんと共同で企画しました。手づくりの雑貨のマーケットを開きたかった佐藤さんと、再開発事業で人通りが少なくなった道路を何とか活性化できないかを模索していた私の考えが合致して行うことになりました。おかげさまで多くの方に来ていただき大盛況でした。
そして「U-50」12回目に登場した、コミュニティーナースの石井麗子さんとも地域で繋がり、石井さんが開く「暮らしの保健室」で、目の健康について、「紫外線から目を守るサングラスの必要性」のお話をさせていただきました。やはり、市民活動はどこかで繋がり、皆がバトンを渡し合っていくのですね。
「こすぎの大学」が発足した6年前くらいから、旧来から市民活動をやっていた方たちとは別の若い方たちが市民活動に取り組み始めたように感じます。1つの団体が立ち上がればそれを支持する人が自然発生し、横の連携が出てきます。そしてお互いに刺激を受けて繋がっていくのです。
注目されるソーシャル系大学
最近「こすぎの大学」の参加者が、知的好奇心に溢れるシニアや学生に広がりましたね。ある大学のゼミでは、この私たちの活動が「小杉の町の発展」というテーマにもなりましたし、社会学の卒論対象になったこともあります。
「こすぎの大学」のような地域に根づいた学び場をソーシャル系大学と言います。毎年全国のソーシャル系大学と本物の大学の先生が集まって運営ノウハウをシェアする場があるのですが、今年は11月に「みんなの尼崎大学」(兵庫県尼崎市)で行われ、全国から集まった有志と地元の人たちと話ができて大変刺激になりました。ぜひとも、学んだ事を自分の活動に取り入れたいですね
最後にメッセージを
よく人から「大坂さんは自然体でいいね」とか「気負いがなくてホッとする」などと言われますが、本人にはあまりその自覚はありません。
何か活動をしたくなったら、なにも仰々しく考えることはありません。まずはスタートして考えればよいのです。今、やれる範囲でやってみることで、やりながら道が開けるのではないでしょうか。
まずは、第2金曜に開催している「こすぎの大学」に足をお運びください!