U50 第49回 藤平真梨さん
アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。
藤平真梨 さんプロフィール
ダンサー/振付家/Dancénsemble (ダンサンブル)主宰
高津区在住
ダンス+アンサンブルでDancénsemble (以下ダンサンブル)。
ダンサンブルは、その人らしさを大切にした自己表現を通じて、舞台や表現の場を創っています。お互いの違いや個性を認め合い、色々な楽器で一曲を奏でるように、色々なカラダで生き活きと踊ることを楽しむ活動です。主宰者で、自身がダンサー・振付家の藤平真梨さんに、自己表現としてのコンテンポラリーダンスや活動への想い、これからについてお話をうかがいました。
コンテンポラリーダンスとの出会いと身体の自己表現
かわさき市民活動センター職員並木(以下、並木):いつもはつらつとした素敵な笑顔で楽しそうに踊られていますが、活動を始められたきっかけを教えてください。
藤平さん:もともとは、クラシックバレエという型のあるダンスを踊っていました。そこから型のないコンテンポラリーダンス(*1)を始めたとき、型があることで、どうしても自己表現とダンスがつながらなかったのが、自分の気持ちや表現が結びついたと、すごく実感することができました。そのとき、コンテンポラリーダンスは誰でもできる表現だな、と思いました。
高校卒業後、オーストラリアに留学して帰国したとき、満員電車でサラリーマンのみなさんがちっちゃくなっているのを見たり、国民性もあると思うのですが閉塞感も感じて、自己表現する場がもっとあってもいいのかなと思いました。
アーティストでなくても、1人ひとりが表現したり意見を言ったり、
「この色が好きだ!」みたいに表現していけるといいな、楽しくしていけるといいな、って。
ダンスで日常を楽しくすることが「ダンサンブル」
藤平さん:活動を始める前、「踊りたいけど自由に踊るってどうしたらいいかわかない」という3人が集まったので、ダンスのクラスを始めました。「日常の動きもダンスになりますよー」とやっているうちに人が集まってきて、じゃぁこれは名前をつけようと「ダンサンブル」に。
並木:市民記者さんが「ダンサンブル」の記事で「包丁で野菜を刻むとか、日常で身体からでる動きが全てダンスになる」と表現してくださり、そうか!日常生活も自己表現なんだって、目から鱗でした。
藤平さん:まさにそう!家事が大変だという方がいたので、じゃあ家事を全部ダンスにしちゃいましょうと。日常がもっと楽しくなれることをダンスでやりたいです。
地域と密着して広がっていくダンスの場
並木:活動が多様化して、多方面の方々とのつながりもできたと聞いたのですが、今後はいかがですか?
藤平さん:毎月河川敷で行ってきた「青空ダンス広場」ですが、NECプロボノ倶楽部さんと出会い、毎月第3土曜日の10時からNECの公開空地で行うことになりました(次回7月16日(土)は猛暑のため中止。代わりにNEC玉川ホールホワイエにて7/21(木) 10:00-11:00にダンサンブルダンスワークショップを開催)。
さらに中原区とつないでいただき「お散歩プロジェクト」とのコラボレーションも考えています。もっと地域と密着して色々な人や世代と関わり、より多様性を楽しめる場をつくることができたら、と思っています。
コロナが落ち着いたら、養護学校や子どもたちが集まっていると所にワークショップに行くとか、高齢者施設でパフォーマンスをするなど、こちらが出向いていく活動もNECプロボノ倶楽部さんと一緒に考えています。
場の持つ力と観客との一体感、ダンサンブルのこれから
並木:前回の野外公演(2020年9月)は、会場が素敵で観客もノリノリで踊っていました(私もそのひとり笑)。年1回の公演は継続ですか?
藤平さん:いまのところはそのように考えています。今年(2022年)も、10月9日(日)に中原区平和記念公園の野外ステージで公演を開催します。
場の持つ力ってあると思います。あそこって舞台がばーん!と開いていて、空も高いしツバメも飛んでいる。そんな解放感のある舞台に、NPO法人カワサキミュージックキャストさんの素敵な照明を添えていただいて、出演者も観客のみなさんもエネルギーが解放されるような空間をつくりたいです。
また、まだ企画段階ですが、もっと参加型の公演を川崎でやりたいなぁと思っています。生田緑地の岡本太郎美術館のモニュメントにすごいエネルギーを感じていているので、あそこでやりたい!
並木:作品と藤平さんのエネルギーの相乗効果で何かが生まれそうです。
藤平さん: Youtubeチャンネルの発信にも力を入れて、ダンスが難しいと思っている人も家で自由に踊ったりできるようにしたい。色々な方が登録してくださるように頑張ります。
得意なことで生き活きと多様性あふれる運営
並木:運営側のメンバーはどんな方がいらっしゃるのですか?
藤平:今年から20人も増えました。
私って職業がアーティストなので、出来ることがすごく限られてて(笑)。
メンバーは色々な職業の方がいるので、私に出来ないことはみなさんの力を借りたほうが楽しい。ダンサンブル自体が多様性を大事に、個々の得意な部分をダンスや舞台にする活動なので、バックグラウンドの運営も得意なことで生き活きできるようにしたい。私はダンスと、人の良いところや素敵なところを瞬時に見つけられることが得意なこと。その2つの組み合わせをダンサンブルの活動のベースに、運営メンバーの得意なことをさらに重ね合わせてパワーアップさせていきたいです。
並木:ダンスも運営もみなさんのアンサンブルですね。
藤平:前回の野外公演の参加者は30人、お客さんはオンラインも含め200人くらい観てくださいました。
数字じゃないのですが、お客様も舞台に上げて1000人くらいに見て欲しい。そうなると運営チームが20人くらいでは全然足らないかも(笑)。
川崎での出会いをダンスで伝えていきたい
並木:藤平さんがいま、注目している人やことはあります?
藤平さん:センターで出会った「ふるさとファーマーズ」の石井雅俊さんが、講演のお手伝いをしてくださり、私たちも畑に行ったりと、お互いに情報共有をしています。活動を始めて色んな団体さんとつながりました。
川崎市って、人もそうですが場所もすごく素敵な所が沢山あるって感じています。ダンスでその場を盛り上げて沢山の人にそれを知ってもらえるような場づくりや活動もしていきたいな、と思っています。
(*1)コンテンポラリーダンス
ヒップホップやバレエ,フラメンコなど、決まった型をいかに上手に踊ることができるかが重要なダンスとは違い、決まった型はなく、自分たちで踊りを創るダンス。
(取材担当:並木 取材日:2022年5月25日)