U50 第12回 石井 麗子さん
アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。
石井 麗子 さんプロフィール
一般社団法人プラスケア 看護師・コミュニティーナース
川崎市幸区 在住
「暮らしの保健室」とは
カフェのようなゆったりとした雰囲気で、病気の悩みや健康に関する心配ごとを相談したり、おしゃべりできる学校の保健室のような場です。
「ちょっとしたことから、大きな病気を抱えての困りごとまで、ふらっと行って医療者に話せるところ」とお伝えすることが多いです。
きっかけは?
NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメントのプロジェクトの一環として、血圧測定や健康相談の「1日保健室」などを法人代表の西智弘(井田病院 腫瘍内科医)や他のスタッフが個人活動としていたのがはじまりです。活動をする中で街の方へアンケートをとったところ、「健康問題を気軽に話せる場所がいつもあったらいいのに」という多くの要望があることがわかりました。市民が気兼ねなく話せる場を継続してつくるため、2017年4月に一般社団法人プラスケアが設立される時に専従スタッフとして採用されました。「枠を超えてゆるくつながる」をコンセプトに「病気になっても安心して暮らせるまち」を目指して活動しています。
どんな活動ですか?
主に「暮らしの保健室」を主な活動とし、川崎市中原区を中心に各地で曜日ごとに開催しています。向河原・武蔵小杉、溝の口、元住吉、武蔵新城、新丸子のカフェや診療所のフリースペースを借り、いまは5ヶ所を拠点としてこちらから出向くスタイルをとっています。毎週開いている向河原の保健室は個室もあり、相談内容を誰にも聞かれたくないと希望する方は、有料の個別相談も可能です。開室時間はだいたい10時~16時もしくは17時ですが、場所によっては夜や土曜日に開催しています。
暮らしの保健室で行うイベントや勉強会
定期的にいくつかのイベントや暮らしに近いテーマの勉強会(スモール・ラボ)を開催しています。足のセルフチェックができる「足育クラブ」や「お灸セルフケア教室」、治療などに伴う肌や髪の毛といった美容のよろず相談ができる「化粧外来」などのセルフケアのイベントの他、臨床心理士が担当する「あのねの部屋」は大切な人を亡くしたご家族・ご遺族が気持ちを出せる場です。化粧外来とお灸教室は人気です。
特に相談ということではなくていらした方も、お灸や化粧外来の中で数年前の病気のことや検診結果の不安などを話してゆかれることもあるので、きっかけは人それぞれで利用してもらえればなと思っています。
勉強会は毎回テーマを変えていますが、いまは「わたしの防災」と名付けて災害前の薬の準備や、食糧の備え方・マンションの防災などを取り上げています(有料)。また、法人代表の西が担当する「生と老と病と死を考えるワークショップ」なども不定期開催しています。開催日やイベント情報は、毎月ホームぺージに詳しく載せていますのでぜひご覧ください。
なぜ看護師の道に?
もともと大学の文学部にいましたが、授業のボランティアで訪問看護の現場を見て衝撃を受け、看護を学ぶ道に入りました。人の暮らしが持つなんだかよくわからないけど力強いエネルギーや、地域での活動に興味があったので、「暮らしの保健室」のことも以前から知っていました。今の自分の力量ではまだ難しいかなと思って将来の夢と思っていましたが、他県で訪問診療の仕事をしているとき、プラスケアのことを知り、思い切って応募しました。
コミュニティナースというのは、「まち中にいて、人のつながりでまちを元気にする」ちょっとしたおせっかい焼きのような存在です。この町にいるいろんな方の思いや活動から学ぶことが毎日たくさんあります。私自身、好奇心は強い方なので、いろいろなお話をうかがえるのは楽しいです。趣味は絵を描くことなので、ちょっとしたイラストを仕事でも使ったりして気分転換しています。
好きな言葉は、映画「フォレスト・ガンプ」の中に出てくる「人生はチョコレートの箱のようなものだという台詞です。チョコレートの味や形は箱を開けてみるまでわからないことを人生に例えたものですが、思いもつかないことが起きるという意味では今までの自分の道のりもその通りだなと感じます。
活動を振り返って
今年度はまだ集計中ですが、初年度(2017年度)の開催日が66日で、利用者さんが約220人でした。はじめは沈んだ顔でいらした方が、自分自身の気持ちをみつけ表情が変わる瞬間はいつもハッとします。
今までに困ったことは何度もありますが、悩みを私一人が抱え込まないよう声をかけてくれるスタッフに助けられてます。活動を応援してくださる皆さんのオープンで明るいエネルギーもまた心強いです。実働としては1人で動いていますが、当面の目標は、今の活動ペースを守ってまちの資源として馴染んでいくことです。気負わずにゆるやかな雰囲気のまま続けていきたいと思っています。
最後にメッセージを
自分のやりたいことや興味のあることに、少しずつでも深めて向き合い続けることが大切なんだと思います。思いもつかない出会いや人との繋がりができることもあります。
何かおしゃべりがしたくなったら、ふらりと「暮らしの保健室」に立ち寄ってみてくださいね。お待ちしています。
2019年2月14日取材 レポーター 町田香子
柔らかな笑顔とほどよくゆるい空気をまとう末吉さん!てがける映像はどれも格好良い撮影のプロフェッショナルでもあり尊敬です。そんな末吉さんが主催するair greenのおはなし、ぜひぜひお聞きしたいです!