U50 第13回 末吉 理さん
アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。
末吉 理 さんプロフィール
Air Green(エア・グリーン)主宰
川崎市多摩区 在住
「Air Green(エア・グリーン)」とは
新百合ヶ丘駅から歩いて7分、「新ゆりアートパークス」の一面に広がる芝生の上で、大人も子どももゆっくり休日を楽しめるイベントです。
1年のうち過ごしやすい春の4、5、6月と秋の9、10、11月の毎月1回日曜に開いています。芝生でのヨガをメインに、手作り製品など楽しめる多彩なワークショップ、こだわりの食材の販売ブースなど1日遊べるコーナーが盛りだくさんです。2013年の10月から立ち上げて今年で6年目を迎えます。
きっかけは?
以前、地元のまちづくり関係の市民活動団体に携わっていて、アートパークスの公園管理のボランティアの人々と仲良しになりました。その方々から「アートパークスで開催するイベントがなくなってしまって寂しいね」という声を聞いたのが始まりです。青空の下、自由に遊べる青々とした芝生があれば自分も人を動かす市民活動ができるのではと、思いたちました。
イベントのプログラムはどのように変遷しましたか。
知人にヨガ講師がいたので、当時はまず健康志向的にヨガ開催をコンセプトとしました。そのうちこのイベントが口コミで地元に伝わると、子連れ参加が多くなり、次第に親子一緒にというコンセプトに内容が移っていきました。
そのヨガ講師からまた知人へと輪が広がり、「ぬか袋の天然カイロ入れ」や「縫わないTシャツエコバッグ作り」などナチュラル思考で斬新なワークショップを開くと、ママさんたちに大ウケでした。食に関しては地元農家の採れたて新鮮地場野菜やそのツテで地元人気店のパンの販売もしました。
公園横の道に思いっきり絵を描こうと、大量のチョークを購入、許可を取って「チョークでお絵かき」を決行しました。すると、大人のほうがハマってしまい見事な絵がアスファルトに残ってましたね(笑)。季節によって、そして飽きがこないイベントをいつも考えています。
出店者に関しては、「ぜひ、店を出したい」という積極的な方もいれば、私からスカウトして出店者にしてしまう場合もあります(笑)。私の本業はカメラマンですから、イベントの撮影も多く、ある程度ノウハウも持っています。また、東京のど真ん中の撮影現場の刺激や情報をいかに、新ゆりに落とし込むかが自分にできることだと思っています。
話をしていて、考え方に柔軟性がある人が好きですし、自分に無いものを持っている人にはとても興味が湧きますね。ある意味、無意識に職業的に培われたフィーリングで人に話しかけているのでしょう。
運営は連携プレー
このエア・グリーンの実働メンバーは主宰者である私と当日の設営担当など合わせて4人だけです。メンバーのミーティングは基本、パソコンを介してしますし、出店者約20人と私はフェイスブックで繋がっています。イベントを継続的に続けるコツは、運営に力を注がないというということがわかってきましたから。
幼稚園から小学校低学年の子を持つ親子の参加者が多い中、日曜の過ごし方を考えると、家族で映画鑑賞や旅行もありだとも思います。でも、公園に集うという選択肢はやはり、趣味趣向が合う仲間がエア・グリーンで繋がっているのだなと実感です。
見通しが良い広場で、子どもが自由に遊んでいても安心できる緑の環境というのは、大人も本当に息抜きになりますね。もちろん、どこのブースにも行かず、ひたすら1日中芝生でボーっとしていても、のびのびと気持ちが良いものですよ。
リピーターさんから「ご近所同士でもなく、子どもの学校関係の縛りもなく、この芝生に集うと月1回の同窓会のよう。このゆるいスタンスが心地良い。また来たくなる」という声を聞くと、運営の励みになりますね。
どんな子ども時代を経て
母は仕事をしていたのでいつも忙しい人でした。しかし、やりたいことは全てやらせてくれました。本当に感謝しています。でもある意味、ほったらかしの放任主義だったのかなあとも思いますよ(笑)。父とはよく多摩川のヘラブナ釣りなど外遊びに連れていってもらいました。
今では、皆が信じられないというのですが、小さいときは人見知りがひどかったし、高校生のときもサークルには一切属さず帰宅部ですよ。もろに、暗黒時代と言いましょうか(笑)。
でも一番良い影響を受けたのはおじいちゃんです。私が何をしてもとにかく褒めてくれて、そのおかげで自己肯定感が芽生えました。今でもおじいちゃんが大好きで、自他ともに認めるおじいちゃん子です。
もともと、勉強は歴史が好きでした。おじいちゃんが買ってくれた横山道輝の「三国志」60巻は読破したし、予備校のときの世界史の先生の「歴史は何千年の中の事件が人間の学びの場になっている」という言葉に感激、大学では史学地理学科の中国古代史を学び、スポーツも気の合う仲間とサッカー同好会に入りました。
大学卒業後は、地図会社に入社してお客さんの喜ぶ顔を見たら嬉しくて、そこから繋がって高津区民のための地図を作ったら、制作の楽しさを知りました。そして、地元にも何か役立つ仕事ができたらと、どんどんライフスタイルが確立していきました。
好きな言葉は、「この世の中をダメにしようとしている人間は、1日たりとも休もうとしない。だから僕は休まない」です。これはジャマイカのレゲエ歌手ボブ・マーリーの名言です。当時、政権抗争が激しかったジャマイカの両政党の仲を取り持とうと動いていたボブ・マーリーが暗殺されそうになって、銃弾を受けた3日後に活動を再開した言葉です。こんなに大それた覚悟をもって活動しているわけではないのですが、ここまで自分ということよりも社会のために動ける気概というものに単純に尊敬の念を感じます。
活動を振り返って
エア・グリーンで色々な人に知り合えたのが喜びですね。私は開催前日までは準備で忙しいのですが、当日は本部テントの前で座っているだけです(笑)。そんな私に「今月も来たよ」とわざわざ声をかけに来てくれる人がいると、それは一番嬉しいときですね。
活動の中で一番困るのは天気です。こればかりはどうしょうもありません。雨天中止のときは、朝一番でSNSで出店者に「中止」と流し、申し込み制のワークショップはリーダーから参加者に「中止」の連絡が行きます。
自分でやりたい活動をしていますから、どんなに忙しくても大変でもストレスは無いですね。6歳の娘と妻も応援してくれています。妻は美容師なので手先が器用、イベントで使う人形もインパクトのある目玉オヤジを作ってくれてビックリしましたよ(笑)。
今後の活動は多世代間交流を考えています。新ゆりは高齢者も多く福祉関係も充実しているので、何か「子どもとお年寄りのコラボ」ができないかと企画を練っているところです。
また、日本人と外国人の交流できるGlobal Café(グローバルカフェ)も計画中です。エア・グリーンは回を重ねるごとにどんどん多様化してコミュニティー作りがバージョンアップしています。
夢は、自分の後継者が出てくることですね。
最後にメッセージを
これから活動を始めることに迷っている人がいたら、とりあえず失敗を恐れずにやってみることです。自分の可能性というものは自分が一番わからないものです。色々な人と出会って価値観を聞いて影響を受けて、それを自分の判断材料にしてください。
エア・グリーンも最初は10人の参加者からでの出発でした。それが今や1日で100人が訪れるようになりました。とりあえず、迷っていたら行動を起こしてください。
そしてアートパークスに遊びにきてください。4月21日、5月12日、6月30日とスタッフともどもお待ちしていますよ!
お問い合わせ
・ホームページ:https://airgreen.info
・フェイスブックページ:https://www.facebook.com/airgreenyoga/
・インスタグラム:https://www.instagram.com/airgreen_yoga/
平成31年3月11日取材 レポーター 町田香子
次回のエースは千葉 駿さんです。
千葉 駿さんへ一言
バトンを受け継いで 末吉 理 さんへ一言
川崎市の取組み「かってにおもてなし大作戦」で、知り合いになった末吉さん。いつも明るく優しいお顔で話を聞いてくれます。ネットワークがすごくて、色々な方々を紹介していただきました。これからも頼りにしてます。どうぞよろしくお願いいたします!
外国語を勉強したいと考えている人と日本に来て言葉も文化も分からなくて知り合いもいない外国人をつなぐGlobal Caféを始めた千葉さん。ご自身も留学の経験があって活動を始められたとか?!そんな背景などお聞きするのが楽しみです。