文字サイズ 背景色

ホームU-50> 第22回 中田 真由美さん

U50   第22回 中田 真由美さん

アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。

中田 真由美 さんプロフィール

中田さん写真

第22回 中田真由美(なかたまゆみ)さん
「じもたんkids」代表
宮前区在住

じもたんkidsとは

中田真由美さんの写真

 名前の由来は、「地元を楽しむ」という意味で「じもたん」と名付け、そこに子どもたちの「kids」(キッズ)を合わせました。

 私の最初の仕事は、家電業界紙の新聞記者でした。取材先は冷蔵庫や洗濯機、オーブンレンジなどの白物家電を作っていた家電メーカーです。元々、家電製品には興味がある方ではなかったのですが、実際にそれを作った人、販売している人に、新製品開発の裏話、思い、新製品のPR方法、予想外の展開など、直接話を聞くことで、今まで以上に家電製品に興味を持つようになりました。また、身近な家電製品を通じて、世の中を知ることができるのも楽しかったです。

 じもたんkidsの活動を思い立ったのも、この時の経験が大きいです。子どもたちに、身近なことに興味を持ってほしい、そこから世の中のことにも興味を持ってほしい、という想いから生まれました。

この活動のスタートと変遷、子どもたちへの願い

じもたん新聞と宮前の働く人事典の写真

現在中学3年生の娘が、小学校2年生のときの夏休み。ふと、街のお店を何軒か取材して、それを「取材ノート」という形でまとめたら、自由研究になるのではないかと思い立ち、娘の友だちにも声をかけたのが原点です。まずは近所の花屋さんや娘がお世話になった保育園などに話を聞きに行き、記事をまとめました。

 初めての取材に子どもたちは、元気に、そして楽しそうに大人に質問していました。大人には思いつかない子どもたちの素朴な質問や反応を見て、私もあらためて「子どもたちが大人から話を聞く」ということに手ごたえを感じ、2014年、宮前区で小学生が地域の働く人を取材するこの活動を本格的に始めることにしました。取材先は、地元の農家、お寺の住職、絵本作家、歌手、宮前区初の女性区長など多岐にわたっています。

 子どもたちの記事は、「じもたんkids新聞」紹介していますが、最近ではWebでも記事を紹介しています。新聞を作り始めた当初は、30部程度を取材先や知り合いに配る程度でしたが、今では約1000部を、地域のお店ほか、最寄りの東急線の駅や東急ストアーなどにも置かせていただいています。

 そして、新聞と並行して1年間の取材の集大成として、「宮前の働く人事典」という冊子を作成しています。この冊子は、区内数カ所の小学校にも家庭数で配布させていただいており、2019年度も7冊目を発行予定です。この事典作りは、ママたちや地域の人からのサポートで成り立っていて、本当に感謝しています。

 じもたんkidsたちへの願いは4つあります。「身近なことに興味を持ってほしい」「地元で気軽に挨拶できる大人を作ってほしい」「面白い事や人をみつけてほしい」そして、最後は「記事をきっかけに、家族や街でコミュニケーションを拡げてほしい」ということです。これは、ホームページにも掲げています。

現在の活動の様子は

子どもたちが大人にインタビューしている写真

 小学生メンバーは約30名、運営メンバーの大人は7名です。運営メンバーは、皆kids記者の保護者です。kids記者は、現在は4年生中心で、全体的には女子が多いですね。中学生になるとなかなか忙しくて、たまに参加してくれる程度です。中学生にも是非参加してほしいのですけどね・・・。この6年間で取材件数は、130件を超えました。多い子は、年間10件以上も取材に行っています。

 取材の仕方ですが、準備として前々日までに質問事項を考えてもらいます。当日は平均5、6人のグループで取材先に向かい、約40分間話を聞き、皆で宮崎台のコミュニティースペースに場所を移し、30~40分くらいで記事を書き上げます。子どもたちの記事は、赤ペンを入れて後日、返却します。

 昨年の秋から、月に一度、タウンニュース宮前区版に掲載していただいていますが、子どもたちにとって、いいモチベーションになっています。また、良い質問をした子には「ナイス質問賞」、挨拶などがよかった子には「ナイスマナー賞」など様々な「ナイス○○賞」を渡し、ノートをプレゼントしています。子どもたちは「ナイス○○賞」を取った友だちの言葉使い、態度、質問を意識して記事を書いているのが感じられることがあり、そういう姿を見るのは本当にうれしいです。取材から戻って30~40分程度で記事を書き上げている、というと驚かれることもあるのですが、最初はできなくても、続けていると、皆できるようになってきます。そういう変化も見ていてうれしいです。

キャッチフレーズは「取材を通じて、質問すること、書くことを当たり前に」

子どもたちが記事を書いているところ

 最近は、作文教室も開催しています。まだまだやり方は模索しているところですが、子どもたちが「あ、こうやったら楽に書けるかも」という自分なりのコツを掴んで、「書く」ことに対する抵抗感を少しでもなくしてくれるとよいなと思っています。

  将来に向けて思うことは、文章を書くことの好き嫌いに関わらず、もっとたくさんの小学生がじもたんkidsの取材活動に参加してくれるとよいなと思っています。主体性、思考力、表現力が求められる「質問する力」「書く力」は、今まさに求められている学力です。いろいろな子に気軽に来てほしいなと思います。

 この活動も7年目に突入ですが、新しい可能性が見えることがあったり、失敗することがあったりと、いろいろと経験しながらとりあえず続いている状況です。私自身は、もう一歩進んだじもたんkidsの姿を見ることができるまで、続けることができるとよいなと思っています。

最後にメッセージを

子ども記者を大人が囲んで笑顔の写真

 じもたんkidsも今のこの形にたどり着くまでは暗中模索の日々でした。会社を辞め、子育てをしながら、何か地元で、子どものためになることをしたいなあと、ゴミ拾いをしたり、草花の写真を撮りWebに掲載してみたり、英語の講座を開いてみたり。ほとんど、実を結びませんでした。

 でも、そういう模索を通じていろいろな人と出会ったり、学んだりした結果が今、じもたんkidsの活動に生きていると思っています。ですから、想いを持って始めたことは、それが実を結ばなくても、無駄にはならないと思っています。今、何か活動に迷っている方には、「まずはやってみてから!」と、お伝えしたいです。

 じもたんkidsでは、現在、記者になって取材をしてみたい小中学生を募集しています。取材の様子や取材予定は、フェイスブックに掲載していますので是非ご覧ください。3月には、「宮前区働く人の事典2019年度版」が発行されます。どうぞお楽しみに!

 じもたんkidsを最初に卒業していった子たちは今15才ですが、そのうちの一人でも将来本物の新聞記者になったら、私も本当にうれしい限りです(笑)。



2020年1月16日取材 レポーター 町田香子

お問い合わせ

jimotankids@gmail.com

次回のエースは阿久津 麻実さん(mama-on!事務局)です。

阿久津 麻実さん(mama-on!事務局)へ一言

中田さん写真

宮前区高津区で活動しているグループです。様々なスキルを持つママ達が集まり、子育てママのサロン情報を発信したり、イベントに出店されたりと活発に活動されています。最近では合唱部も結成されたそうです。

バトンを受け継いで 中田 真由美 さんへ一言

阿久津麻実さんの写真

「じもたんkids」がクラウドファンディングで費用獲得した記事を読んで、すぐに中田さんに連絡をとり、それからのご縁です。ずっとお世話になっています。これからも中田さんの背中を追いかけていきたいです!

(C) 2022 公益財団法人かわさき市民活動センター 
市民活動推進事業