U50 第35回 望月晶子さん
アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。
望月晶子 さんプロフィール
「紙しばいや もっちぃ」
東京都在住
紙芝居師になったきっかけは
国際線の客室乗務員を降り、以前から興味のあった「自己表現」を模索しながら再現ドラマの出演など演劇の勉強をしていたのですが、ある日「紙芝居師」のオーディションを受ける機会がありました。そこで「黄金バット」と出会い、1つの作品に1人ひとりの表現方法があり、なんて面白い世界だろう!と、いっぺんで魅了されました。
今では、自分の表現活動を突き詰めるのに最もふさわしいのは「紙芝居」だと確信しています。その後、結婚、出産を経てからも、ライフワークである紙芝居の道をまっしぐらです(笑)。
活動の変遷
2015年4月、野菜マルシェの「高津 さんの市」でデビューです。見切り発車というか、自転車の荷台にダンボールをくくり付けてのスタートでしたが、とにかく現場で観客に街頭紙芝居を知ってほしかったのです。
その後4年間は、保育園などを拠点に色々な施設を回りました。紙芝居をみんなで一緒に楽しめるスタイルにすべく、独学で身につけた玉すだれ、皿まわし、バルーンアートも組み入れていきました。地道な公演活動が少しずつ広まったせいか、支援してくださる団体も出てきて企業に紹介してくださるなど、活動の場が徐々に拡大しました。千葉、埼玉、山形県などからも公演依頼のお声がかかり、市民セミナーでは「社会でスキルを発揮する」という地域活動に関しての講師も務めさせていただきました。
そして2019年12月「『国、障がいのあるなし、プロアマ問わず紙芝居を楽しみ交流する』を趣旨とした「青空かみしばい」を立ち上げました。全国の紙芝居に携わる方々に出演のご協力いただき、観客の皆さんからも「面白かった、また参加したい!」とのお言葉をいただき、やりがいを感じました。
2020年はコロナ禍で全てのイベントが中止になり、残念なことも多いなかで思いついたのが、オンラインによる青空かみしばい「World Peace&Smile at Aozora Kamishibai」(WPSAK)です。
それは当時、私が紙芝居師として「高齢者も障がい者も保育園児も笑う場面は一緒!施設や教室という壁を取り払って、皆が一堂に会して笑い合いたい」という気持ちが強くなっていたこともあります。2020年4月、「オンライン(Zoom)で紙芝居セッションをやりませんか?」とFacebookで呼びかけたところ、国内外からの迅速な返答には驚きました。緊急事態宣言が明けるまでは、週1回のペースで開催と決め、海外はブラジル、メキシコ、オーストリア、スイスなどの方々に続々と出演していただきました。
観客は未就園児から94歳の方までと多世代にわたり、中国、スペイン、トルコなどからの観覧申し込みがありました。開催後、出演希望者多数という嬉しい悲鳴も上がりましたが、プログラム作成など準備に時間がかかるため、週1を月1ペースにしました。
去年の夏以降は国内外の子どもの参加に力を入れ、紙芝居を通じた国際交流も大きな目的にしました。川崎市からのオンライン発信で、特に、日本全国の子どもたちに紙芝居を通じて国際交流の機会を与えたいと考えたのです。
また、コロナ禍に演じてくれる子どもやその親子ペアには、紙芝居の象徴である「拍子木」を贈ろうと思いつき、費用をクラウドファンディングで呼びかけました。おかげ様で皆様からの賛同をいただき、国内の子どもたち8人に渡すことができましたし、海外の子どもたちには、コロナ明けの郵送可能な日になるまで待ってもらっています。
私の紙芝居への想い
私には、紙芝居師としての柱が3本あります。1つ目は、和の古い肉筆芝居を収集して受け継いで行くこと。2つ目は、現代のオリジナル紙芝居として、食品ロスやゴミの環境問題などを取り上げて自分で制作し多世代に発信していくこと。そして最後は、Zoomで、国籍、障がい、プロアマ問わずに、紙芝居を通して交流していくことです。
ハイブリッド型紙芝居と称して、異種の組み合せのイベントも行っています。例えば、農園で芋ほり大会の後、Zoomで海外から野菜に関する紙芝居の上演で盛り上がりました。私の独自の紙芝居は、既存の型にとらわれずに、皆が一緒になって「同じ楽しい時間」を共有してほしいと思っています。剣術コラボではママチャンバラのメンバーにもお手伝いいただき、ヤマタノオロチを紙芝居で演じています。
紙芝居の魅力に取り付かれた観客の中には、今や、熱い仲間のような親子ペアやお子さんがいます。自分でストーリーを考え絵も描いて完成した作品は、本当に大人顔負けですよ。紙芝居の魅力は、紙芝居の中に色々なメッセージが込められますし、1回でも観客の前で演じれば、その達成感に自分に自信がつくから不思議です。私はいつも「紙芝居はその人自身である」と思っています。
最後にメッセージを
今は毎日が紙芝居漬けの日々です。でも、いまだに自分の表現能力を突き詰めたく、毎日が修業だと思っています。
私の紙芝居人生は、青空の下で自転車にくくり付けたダンボールから始まり、温かな皆様のご支援のもと、ここまで来ることができました。もし、活動に行き詰まったり疑問が湧いたりしている方がいたら、今の自分が言えるのは「とにかく行動してください、そして色々なことを経験しておいてください」ということです。
私は紙芝居を通じた活動のベースにあるものが、たまたまで中学校のときに入っていた紙芝居クラブや、大学生のときから10年間関わってきたタイの貧困家庭へのボランティアが少なからず影響しているかな、と思うときがあります。
将来の夢は、紙芝居を見る余裕がない貧困層の子どもたちに、ぜひとも紙芝居の楽しさを届けたいですね。そしてまずは、世界中に在住する孤立しがちな日本人家庭に日本文化である紙芝居を届けたいとも考えています。
去年から好評を博してきた「WPSAK」ですが、この3月をもっていったん終了いたします。やはり、紙芝居は青空の下でリアルに開くという原点に戻り、現在、色々と計画中です。立ち上げ次第、Facebookにあげていきます。どうぞ楽しみにしていてください!
アウトドアを誰よりも楽しめるお母さんです!そのサバイバルパワーで日本を、いえ、世界を引っ張っていってほしいです!