U50 第40回 溝井直孝さん
アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。
溝井直孝 さんプロフィール
NPO法人 姿勢教育の孝心会 理事長
孝心館合氣道 館長
東田公園コミュニティーハウスさくら 館長
川崎区ソーシャルデザインセンターモデル実証プロジェクト コーディネーター
幸区在住
「NPO法人 姿勢教育の孝心会」とは
2015年に設立、「すべての人へ正しい姿勢を!」を合言葉に、心と身体を正しい姿勢に導く活動しています。姿勢を正すことで健康を保ち、社会生活で大切なコミュニケーション能力やマナーなどの意識や行動を「前向きな姿勢」として向上させるお手伝いをしています。会の活動は大きく分けると3点あります。
1.姿勢教育に関する講座開催などの普及活動
2.東田公園内の「コミュニティーハウスさくら」の施設管理。前向きな姿勢になれる場所作り、地域住民の生活、健康、文化の向上に貢献し、地域活性化を目指す
3.川崎区のソーシャルデザインセンターモデル創出を目的として「やってみたいができる東田公園まちびらきプロジェクト」を川崎区役所と協働で実施
(※ソーシャルデザインセンターとは、人や団体・企業、資源・活動をつなぐ 機能を持ち、地域での様々な新しい活動や価値を生み出すことを目的として います。川崎区らしいソーシャルデザインセンターの創出に向けた取組の 1 つとして、 姿勢教育の孝心会と川崎区役所が協働で実施する事業です)
などです。
公園のゴミ拾いから始まった変化
立ち上げ以来、「コミュニティーハウスさくら」(以下、「さくら」)で姿勢教育を含む講座開設などで実績を積んできましたが、2017年より「さくら」の運営管理を引き継ぎ、会の活動も拡大しました。
公園と「さくら」を管理していく中で、「前向きな姿勢になれる場所」にしていくためにイメージアップしながら綺麗な公園に改善できないものかと考えていました。そこで公園のゴミ拾いを始めました。すると、そんな私の背中を見ていた子どもたちが、「ぼくたちもやるよ!」と自主的に手伝ってくれるようになりました。地域の皆さんや公園利用者さんの協力もあり、少しずつ変化が出てきました。
その結果、「さくら」を利用している団体から公園でイベントを開催したいという声も上がってきました。しかし、開きたくても資金や人手不足でなかなか実現が困難であるとの声を聞き、なんとか対処したいと思っていました。このきっかけが川崎区役所との協働事業「やってみたいができる東田公園まちびらきプロジェクト」に繋がったのです。
「やってみたいができる東田公園まちびらきプロジェクト」がスタート!
町内会や近隣商店街の協力の下、2020年4月、東田公園と「さくら」を開放して「やってみたいができる場所に!」をコンセプトに始動しました。
まずは参加団体を募集し、「誰もが主体となってイベントを通して地域活動ができる」よう、チラシや施設利用の団体のポスターを作りアピールしました。活動を始めてみたい団体や個人のためには、館に相談窓口を設置、コーディネートや伴走支援も可能にしました。
コロナ禍の中でスタートとなったため、企画したイベントは中止、縮小を繰り返し、活動はなかなか進みませんでした。しかし、公園の落ち葉拾い清掃や花壇づくりのイベントから子どもが主体となって活動していく「美化・緑化大作戦」が自然と立ち上がりました。作戦会議を繰り返し、公園に自分たちで描いたポスターを貼りつけて、ポイ捨てさせない「ポイ捨てゼロ作戦」や、公園の何もない場所にクローバーの種をまき、緑の絨毯で園を埋め尽くす「幸せを呼ぶクローバー作戦」を考え出したのです。
私は、オブザーバーとして一切、口を挟みませんが、実に素晴らしい意見が出て驚きましたねえ。子どもたちから、「ホームレスの人たちが、居座ることを遠慮するような綺麗で可愛いベンチを作ろう」「ゴミを入れたくなるようなゴミ箱は?」「SDGsに合わせた公園」「再生エネルギーを利用した公園に」など、ちょっと思いつかない発想ですよ。その斬新さは、大人をうならせました。
今年6月、「幸せを呼ぶクローバー作戦」を実行しました。土壌が適していない場所に種からの植え付けはなかなか難しく、以前は雑草に負けたり、日陰で発芽が遅れたりと、たくさんの失敗を繰り返しました。でも、実に楽しかったです。それに芽が出たときの頑張ってきたこどもたちの喜びは、何ものにも代えがたいですね。ポスターで呼びかけた甲斐もあり、合氣道の稽古終わりに公園清掃してくれる子どもたちは、少しずつ増えてきました。
「草むしりはサイコーに面白い!」なんて言うのですから、やはり大人とは感覚が違いますね。この緑化作戦で「公園を綺麗にする」という目標が、改めて子どもが主体となって町を変えることができる可能性を確信しました。自分の居場所の発見は、「我がふるさとが川崎だ」という自覚に繋がったと思います。そして皆に共通なのが、何かに夢中になっているとき、真剣なときこそ、本当に前向きな良い姿勢になっているということです。
コロナが落ち着いたら、キレイになっていく公園で今まで企画していたイベントが開催できるよう進めていきます。
コロナ禍に遭遇して
2020年4月、「やってみたいができる東田公園まちびらきプロジェクト」のキックオフミーティングを開いた翌日に「緊急事態宣言」が発令され、企画していたイベントがほぼ全滅。参加団体もイベントどころではなくなり、プロジェクトの中止を見込んだくらいでした。しかし、冷静に考えてみると、コロナ禍は苦しいだけではなく、色々な気づきをチャレンジの場を貰えました。
私が指導している合氣道の稽古も対面でできなくなり、しばらく休講が続きました。生徒たちが気になり自宅に電話を入れると、「朝、起きられない」「人と話してない」など、彼らが疲弊している様子がわかりました。これではいけないと、自粛期間中、毎朝8時にYouTubeで「朝のお稽古」をライブ配信し、ストレッチや呼吸法を一緒に練習しました。ステイホームでできる運動や親子で楽しめる運動などをアレンジして、Youtubeで配信もしました。私が息子たちと実際に楽しみながら運動している動画は、今でもトレーニング動画として活用してくれているそうです。
これからの夢とメッセージ
私は設計士から合氣道の講師となり、仕事内容が物作りから人づくりへ変わりました。
そして今、その人が集まる街づくりのお手伝いをさせていただき、場所作りまでチャレンジさせていただいています。大きな変化に合わせて常に前向きな姿勢で挑み続けていきたいです。
子どもたちは、失敗を恐れずにチャレンジし続ける姿勢とリーダーシップをとれる大人へと導いていきたいと思っています。そして大人の埋もれたスキルを活用できる場所が作れればと考えています。
今、何かにチャレンジしたい!やってみたいことがある!という方はぜひ最初の一歩を一緒に踏み出しませんか?
「美化・緑化大作戦」に興味のある方は、基本的に日曜日11:15 ~開催しておりますので、遊びにきてください。もちろん、合氣道もちょっとやってみたいなという方も気軽に見学においでください。公園のクローバーとお待ちしています。
ソーシャルデザインセンターモデル創出に向けて突き進みましょう!誰でも楽しんで活躍できる場所として一緒に作っていきましょう!『おしゃべり』はお任せいたします。