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U50   第56回 スミナツコさん

アンダー50として、2018年から2024年3月まで、
50才未満の若手市民活動家へインタビューを重ねてきました。
「活動を始めたきっかけや思い」など、
62名それぞれの軌跡が
多くの方々へのエールになるよう願っています。

スミナツコ さんプロフィール

グラフィックデザイナー
ノートリボ主催
森展共同代表
BOOK WEEK JAPAN代表
川崎市多摩区在住

スミさんが代表を務めるノートリボはまちの編集室としてフリーペーパーの発行をしています。そのほか、「えほんとおうち」や「絵本とピクニックパーティ」といった本のイベント、森で行うアート展「森展」など多彩な活動をしています。
スミさんが広くまちへかかわるようになったきっかけ、ノートリボを立ち上げるまでの道のりをお聞きしました。

こどもとの時間を増やしたいと独立、地域にいる時間が長くなる

かわさき市民活動センター職員 浅海(以下浅海):地域で活動するようになった最初のきっかけはなんでしょう?

スミさん:10年ぐらい都心の事務所に通い、こどもを保育園に預けて働くという毎日でした。こどもとの時間を増やしたいと独立してフリーになって自然と地域にいる時間が長くなり、地元でデザインの仕事ができないかなと漠然と思っていました。
地域のチラシなどをみても、もっと良くなるなと思っていましたし(笑)。
地域の困りごとをデザインの力で解決したいと紹介され、横浜のNPOのパンフレットをプロボノで作りました。良い経験になったのですがもっと地元でやりたいと思いました。

絵本が好きでもっと本と多様なかかわりかたができる活動を立ち上げた

絵本の登場人物に仮装して集まっている写真

浅海:本の活動をいろいろされていますよね、詳しく教えていただけますか。

スミさん:絵本が好きで、独立と同時に本と多様なかかわりかたができるBOOK WEEK JAPANという活動を立ち上げました。
BOOK WEEKはいわゆる読書週間で、海外では自分が好きな絵本の登場人物に仮装して学校に登校するイベントがあり、いいなと思って。
BOOK WEEK JAPAN(BWJ)の活動として、絵本のキャラクターに扮してピクニックをする「絵本とピクニックパーティ」を年2回開催しています。
初回は10家族ぐらいで集まって多摩川の河原でパーティをしました。日常に絵本を楽しむ持ちより絵本会「えほんとおうち」という絵本のサロンも月1回開催しています。本を読むというよりも本と自由にかかわる、という活動です。

BOOK WEEK JAPANインスタグラム
https://www.instagram.com/bookweekjapan/

「森展」の活動でまちの人が森に還元されていく

森の中で1枚の大きな作品をこどもたちが描いている様子

浅海:スミさんは「森展」の活動もされていますが、森と本はつながっているのでしょうか。

スミさん:絵本の活動をしていると、どうしても森にいきついちゃうんです(笑)。
「森展」は麻生区市民健康の森を舞台にしたアート展ですが、3年前にはじめてBWJとしてアートクラフト劇で参加しました。
森や自然の中でアート体験をする「森展」ってすごくいいなと思って、森山来妙さんとともに代表を引き継ぎました。
里山はヒトが管理していかないといけないから、まちで出会った人を「森展」に誘っています(笑)。
「森展」をやっていることで、森とまちをつないでいるのが楽しいなと思います。

まちって面白いなと思えてきた、きっかけは「国立本店」との出会い。

浅海:まちへの視点というのはどのように芽生えたのでしょうか。

スミさん:ふとしたきっかけで「国立本店」(くにたちほんてん 以下「本店」)の活動を知り、参加するようになりました。
「本店」は「ほんとまちの編集室」のメンバー30名ほどで運営されていて、本が並ぶ小さなスペースを交代でお店番をしています。
まち歩きやまちの標本活動、そういう情報を編集し発信しています。
この活動に参加して、本のあるまちの居場所が自分の街にもあったらいいなと思うようになったんです。

「#残したいまちの写真」「幻のまちカフェ」で本のコミュニティができた

区画整理でできた空き地のイベントの様子

浅海:登戸のまちの風景は本当に変わりましたね。変わりゆくまちで何かしようと考えるようになったのでしょうか?

スミさん:区画整理事業がすすみ、どんどん更地になっていくのを見て寂しく「#残したいまちの写真」という活動をはじめました。インスタグラムでタグ付けしてもらい、みんなが写真を投稿してくれる。
同時期にビルの屋上を使い「幻のまちカフェ」というイベントを3回開催しました。そうしたら反響がすごくて。これが地域のニーズなのかなと。ここでいろんな人と出会えて、じっくりお話ができたり。
さらに、リボーコーヒーさんの空き地でやったBOOK BOOK BOOKという本のイベントに参加して、ようやく本のコミュニティができてきた。この5年で花咲いてきたという感じです。
これが転機になり何か編集活動ができたらいいなとノートリボを立ち上げました。

ノートリボはまちの編集室。まちの人の声を集めてまちについて語り、発信したい

登戸駅前で住民がおもいおもいの本を売る住民本屋の様子

浅海:ノートリボについて、この先やっていきたいことを教えて下さい。

スミさん:ノートリボの主な活動はフリーペーパーの発行、お散歩企画、イベントです。
変わりゆくまちを見ながら、いろんな人がいろんなことを思っている。まちの声を集めて編集して、発信していきます。
これまでイベントに合わせて3号発行しました。イベントとしては、2022年3月に空き地で展示イベント「空想するノボリト カコ・イマ・ミライ展」をやりました。登戸の過去の写真、大学生の空想する未来(公共空間の卒業制作パネル)、まちの人から集めた写真を展示したほか、「まちの不思議と疑問を集めます」という企画でポストイットに書いてもらい、お話しをしたりしました。まちの会議室というか井戸端会議というか、ゆるくまちの人と話す場をつくるのって面白いなと気付きました。フリーペーパーを見て声をかけてくれたり、昔のアートプロジェクトの話をしてくれたり、人も発掘されたりと発行する効果がめちゃくちゃあって(笑)。
登戸駅前ミライノバで展開している「住民本屋」は、本を持ち寄って雑貨などと一緒に売る本屋さん。売ることが目的ではなく、道で会話や雑談を楽しむきっかけづくりです。いろいろ試していますが、本好きの人材が現れて、ふつうの生活の中で経済や都市計画など難しい話をフランクに話せる場づくりができてきている。役所の会議室とか授業とかではない視点で学べる場が面白いです。

今後は、新しくできる駅前ビルの中に本のコミュニティスペースができたらいいなと模索中です。あとは多摩川ですごす「カワノバ」という社会実験も面白くて参加しています。これも続けていきたい。ミライノバでやる住民本屋もパワーアップしていきます。

浅海:登戸の未来とともにワクワクしますね、今日はありがとうございました。
(取材担当:浅海 取材日:2023年1月26日)

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